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    solyu__

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    リュウジD1、シマカゼC2
    ひとり暮らしの家に遊びに来たシマカゼがお泊りする話①

    ストーリーの都合上、①にはモブ女子が出ます。苦手な方は読み飛ばしてください。

    腕枕と体温①腕枕と体温







    ◆ ◆ ◆

    ふと目を覚ますと、胸の前にあたたかな感覚があって、シマカゼに添い寝しているうちに寝てしまったことに気付く。少し高いシマカゼの体温が心地良い。

    少しくせのある髪を撫でながら、ゆっくり腕を抜く。ちょっとしびれているが、穏やかに寝ている顔を覗き込むと、満たされた、あたたかい気持ちが広がっていく。

    昨夜、始めて身体を重ねたのだ。


    ◆ ◆ ◆



     地元名古屋の大学を選んだのは、引き続き名古屋支部に出入りしながら、機械工学が学べる学部があったからだ。支部の人の計らいで、借上げ寮の形で大学近くにアパートを借りられることになった。
    忙しくなると泊まり込みになるような時もあると聞き、実家から通えなくはなかったが、大学や支部から通いやすいところにした。
     引っ越しは母やタツミにも手伝ってもらい、春休み中には済ませたが、入学してしばらくは実家から通っていた。ガイダンスが始まって履修が決まると、1限から5限までみっちり授業が入ることがわかり、いよいよひとり暮らしの家での生活が始まった。
     料理を作るのも、家の家事も中学生から一通りできていたので不便はなかった。
     
     一通り落ち着いた頃、連絡を取り合っていたシマカゼが遊びに来たいとメールをくれた。中学2年生になったシマカゼは背が伸び始め、すらっとしてきた。引っ越し〜入学ガイダンスの間、外で少し会うくらいで、あとはメールで連絡を取り合うばかりだった。了解の返事をし、手料理でも振る舞おうかと思案する。

     シマカゼとは、彼がドクターイエローの運転士となった前後に、彼から思いを伝えられて、、付き合うことになった。年も離れているので、一緒に勉強をしたり、出かけたりとゆっくり時間を過ごしてきた。大学受験の時期はどうしても時間を取って会えなかったが、シマカゼのあたたかい言葉や気遣いに、いつも助けられてきた。
     そんなシマカゼとゆっくり会えるのだ。今まで我慢させた分、甘やかさねばならない。




    ◇ ◇ ◇



     リュウジさんのひとり暮らしの家に行く、ずっと楽しみにしていたことだ。
     受験勉強が本格化した去年の秋から、なかなかゆっくり会うことができなかったけど、二週間に一回、リュウジさんの勉強している図書館や、カフェに行って、一緒に勉強して帰り道散歩するのが、毎回のデートコースだった。リュウジさんの目指す大学は中部地方の難関大学で、たくさんの参考書に目を通しながら、すごいスピードで課題をこなしていた。一緒に勉強する僕もがんばらなくては…と思い、今のところ中学校のテスト順位は十位以内をキープしている。
     クラスの友達には、

    「部活も忙しいのに、安城の勉強ってどうやってるの」

    と聞かれることもあるが、(付き合っている人と一緒に勉強してるとは言えないので適当にごまかしている)あまり言葉を交わさなくても、静かに一緒に勉強している空間がすごく好きだった。リュウジさんが考え込むときの癖なんかも分かってきて、顎に手を置いて、じっと考えている仕草がきれいで、見付けると一緒に手を止めてしまっていた。切れ長の目で、ずっと遠くを見るように伏せ目がちにする姿がすごく美しいのだ。
    リュウジさんはどこにも行けなくてすまない、と謝るけれど、僕しか知らないリュウジさんの顔が増えて、気にならなかった。
     
     待ち合わせの最寄り駅に着くと、リュウジさんは改札で既に待ってくれていた。僕を見つけると、微笑んで歩いてきてくれた。白いシャツとチノパンのラフな姿だけど、制服だった3月までよりずっと大人っぽく見える。
    「ようやくですまない、ようやく大学のガイダンスも一段落したところだ」

    「今日すごく楽しみにしてました!」

    「買い物しながら行こうか」

    自然と肩が触れる距離で歩き出して、胸が高鳴る。
    途中のスーパーでお昼ごはんの準備を買って、他愛もない話をしながら、リュウジさんのアパートに向かう。

    「あれ、清洲くん?」
    女の人の声がして、顔を上げると、若い女の人がリュウジさんの名を読んでいた。髪の毛を下ろした、きれいな人だ。
    「ああ、英クラの…」

    「佐藤だよ、清洲くんひとり暮らしだよね、家このへんなんだ?」

    「ああ」

    「今度ね、先生も呼んでみんなでゴハン食べようって言ってたから、顔出してね」

    「…バイトもあるし、考えとくよ」

    「了解、呼び止めてごめんね〜じゃあね!」

    きれいに整えられた指先をひらひらさせながら、女の人は駅に向かっていった。
    そのひとが嵐のように通り過ぎて行った後、、何となく僕もリュウジさんも言葉少なになってしまった。ぼくは弟か何かだと思われたような気がする。
     受験生のときには気付かなかったけど、大学生のリュウジさんの周りには、僕の知らない世界が広がってて、きれいな女の人がたくさんいるのだ。リュウジさんだってかっこいいし、大学でも好意をもって声かけられることだってあるはず、、
    そう思えてきて、暗い気持ちが広がっていくのだった。



    ◆ ◆ ◆
     

     同じクラスの女子に呼び止められてから、明らかにシマカゼの様子がおかしいことには気付いていた。でも、歩きながら弁解することではないし、何となく言葉少なのまま、アパートに向かっていった。クラスの女子には時折興味有りげに声をかけられていたが、バイトがある、といって避けてきたのだ。あまり積極的に関わるつもりはない。それをシマカゼに分かってもらえるだろうか。

     
     アパートの二階にある一室に着き、鍵を開けて玄関で順番に靴を脱ぐ。入り口の鍵をガチャリと掛けて、少し前にいるシマカゼを後ろから抱きしめる。

    「すまない、さっきは不安にさせたか…?」

    「…大丈夫です」

    シマカゼは抱きしめる手の上に、そっと手を重ねた来た。
    「ぼく、弟って思われましたかね」

    ごまかすように笑うシマカゼに、

    「弟とは、こんなことしない」

    とぎゅっと抱きしめる力を強くして、ふわふわとした後頭部に顔を埋める。シマカゼの匂いだ。こんなふうに抱きしめたのは数限られていて、前よりも少し大きくなった身体は少し震えていた。 

    「何も心配しなくていい。シマカゼが好きだ」

    そういうと、身体を向き直させておでこにキスをした。唇を離すと、そこには泣きそうな顔のシマカゼがあった。

    「…もっと素直になっていい」 

    「こんなことで弱くなっててはいけないと思って」

    「こらこら」

    目線をそらして、困ったような顔で言うシマカゼの頬を子どもをあやすようにつまむ。もう小さな子どもでもないし、細面の顔はつまむところなんてないのだけれど、あぁ、愛しいなと思う。

    「今日はシマカゼを甘やかすためにきてもらったんだ、弱音は吐いていい。まずはご飯作らせてくれ」

     そう言って部屋の奥へ入るよう促して、自分は買ってきたものの仕分けにかかる。


     さっきは落ち込むシマカゼを目の前にして、少しやりすぎてしまったかもしれない。シマカゼのことを自分の欲の対象とするのは、まだ心のどこかで憚りがある。真っ直ぐに生きている彼を、自分のどろどろした感情に巻き込んでいいのか。
     震える手と、揺れる瞳を見て、自分の何かが反応しているのは事実だ。いっそこのまま気持ちの赴くままーー…
     我に返って、自分の心を戒める。まだ、すぐにはできない。大事にしなければ。
     
    玄関から入ってすぐのキッチンは狭い単身者用だか、手際よくやれば何品が作れる。頭の中で段取りをしながら、シマカゼに飲み物を出して、部屋のものは好きに使っていいと声をかけた。少し気持ちは落ち着いただろうか。時折様子を見ながら、昼食作りに取り掛かる事にした。



    ◇ ◇ ◇


     リュウジさんの部屋は、実家の時の部屋と同じく整頓されていて、物が少ない部屋だった。家具とかの色味もシンプルで色が少ない。本が並んでいる棚には、鉄道関連の雑誌や時刻表も見えた。超進化研究所での手伝いをしながら、大学に通う、一つでも大変なものをこなすリュウジさんはすごいと思う。
     
     家に入ってすぐ、リュウジさんが後ろから抱きしめてくれたとき、心臓が飛び出るくらい、どきどきした。リュウジさんの体温や呼吸を感じて、身体がが震えた。
     今まで外で会っていたときには意識しなかったけど、付き合っている、ということは、触れ合ったりすることも含まれると知識としては知っている。何回かリュウジさんの実家に行ったとき、触れるだけのキスはしたけれど、それ以上のことはしてこのかった。
     でも、ここはリュウジさんのひとり暮らしの部屋で、誰もいなくて、、という状況に今更ながら胸がざわざわしてしまう。もし、もっとキスしたり、抱きしめられたりしたら、どうなってしまうんだろう……
     さっきの感覚を反芻していると、不意にリュウジさんから声がかかった。


    「シマカゼ、もう少しでできるから、皿を取ってきてくれないか」

    キッチンの上の棚から、大皿を取って盛り付ける手伝いをする。中華風の炒めものとご飯みたいだ。美味しそうな匂いにお腹が空いてることに気づく。その後サラダと味噌汁まで準備してくれて、手際のよさにびっくりするばかりだった。

    「リュウジさん、やっぱり料理がすごいです」

    「中学生からやっていたからな。大食いの弟を食べさせるメニューはいっぱい考えてた」

     二人で小さなテーブルで向かい合いながら、ゆっくりご飯を食べた。僕にとっては、難しい顔をしてることが多いリュウジさんが、自然な表情をしてくれるときが一番うれしい。部活のこと、新しくなった先生のこと、微笑んでうなずきながら聞いてくれる。みんなの知らない顔だ。
     作ってもらったお昼ごはんを残さず食べて、皿を洗う手伝いをして、一息ついてソファーに座っていると、リュウジさんが飲み物を出してくれた。
     
    「今日は、部屋でゆっくりしようと思ってたが、何か見たい映画とかあるかな」

    リュウジさんも自然と隣に座ってくれて、その距離感に僕はまたドキドキしてしまう。テレビのリモコンを持つ手は、すぐ隣にあって、僕ばかり意識しているみたいだ。

    「じゃあ、これがいいです…」

    指差しながら、まだ見ていなかったアクション映画をお願いすると、リュウジさんは操作して、映画の音楽が流れ始めた。でも半分くらい上の空だ。

    「…シマカゼ、緊張してるのか」

    「…何だか隣で映画見てるの、初めてなので、、」

    「大丈夫、とって食べたりしないさ」

    そう言って、間にある手を握ってくれた。何だか嬉しくなって、リュウジさんに寄りかかってみると、ポンポンと反対の手で頭を撫でてくれた。

    「でも、キスはしようかな…」

     そう言うとリュウジさんの顔がだんだん近付いてきて、唇が重なった。心臓の音がうるさくて映画の音が遠くに聞こえる。リュウジさんの体温を感じながら、しばらく幸せを噛みしめることにした。




     
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