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    solyu__

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    主にカプ色のつよいもの女装など趣味のつよいものはこちらに、、

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    solyu__

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    (🐉🏝️)🐉さんK3、🏝️くんC1。
    🐉さん卒業前後の2人を短編で書いていく予定です。当初考えてた話と違って、🐉さんを東京に行かせようとしたけれど、今回は地元に留まっています。

    with you again todayDAY1

    リュウジさんが大学に合格した。
    本人は至って普通のこと、と謙遜しているけれど学業と名古屋支部での臨時指導長代理の仕事を両立して、受験勉強もこなすなんて、誰にでもできるだけわけではない。
     その分、高校生活は満喫できなかった、と零していたけれど、進路が決まってから、クラスの人とも遊びに行っているらしい。カラオケとか、ファミレスとか、失礼だけどあまり似つかわしくないけど、今までのことを考えたら、リュウジさんにはのんびりしてほしいとは思う。ただ、共学校のリュウジさんは、周りからどんな風に思われてるのかは気になってみたりしている。
     今まで遠慮していたメールも日に何通かできるようになった。
    「今日はスイーツ食べ放題に行った」
    「リュウジさん…苦手なのに」
    「パスタとか料理で、何とかしのいだが、タツミと食べているみたいだった」
    「(笑)(笑)(笑)」
    絵文字を使って、二人だけのやりとりを楽しむ。リュウジさんと、「付き合う」ことになって、一年経つけれど、今が一番近くに感じる。
     もう少しで大学に入学して、支部の仕事も再開すると、また僕からは遠くに行ってしまうけれど。それまでのこの時間を、ゆっくり過ごしたいと思うのだ。


    DAY2

    「清洲、今日はクラスのみんなで昼行くけどどうする」
    「もうスイーツは勘弁してほしい」
    「それはないからさ、今日はファミレスな」
    「わかった」
    進路が決まってから、クラスメイトにちょくちょく話しかけられるようなった。進学校なこともあって、お互い遠慮してたものが一気に開放された感覚だ。もちろん来年に持ち越しの面々も、今どきだけは残りの高校生活を楽しんでいるようだ。
     授業らしい授業もなく、四限終わりの午後を、他愛もない会話をして過ごしている。進路は別々で、東京に行く者も関西に行くのもあり、地元の大学を進学するのは半分ほどだった。
    「清洲はさ、どうして地元の大学に決めたの?」
    「うちは母子家庭だから、なるべく近くにいたいのもあるけど、空手の道場もこっちだから」
    「へえ、清洲1、2年のときもちょくちょく抜けてたものな、大学でも続けるの?」
    「一応」
    羽島さんには3月中は支部の手伝いを休んで、高校生活を満喫するよう言われている。今しかできないことを楽しめということらしい。確かに中、高と遊びらしい遊びは、シンカリオンのメンバーとくらいしかなく、疎遠だったクラスの皆と関わる機会なのだ。少しくらい付き合ってもいいのだろう。
    「ねー清洲くんって、付き合ってる人いないの」
    ただ、時にはこんな言葉を向けられることもある。
    「この学校には、いないが」
    「えっ、他校?どこどこ?」
    「マジか」
    その後の追及は何とか振り切ったものの、恋愛の話に付き合わされるのは苦手だ。シマカゼとのことは言うつもりはないが、彼の顔が脳裏に浮かぶ。

    (シマカゼに会いたいな…)

    あまり平日会うことはなかったが、携帯の画面を開き、メールを送る。まだまだ帰らなそうなクラスメイト達には、家の用事と伝えて、足早に店を離れるのだった。

    ◇ ◇ ◇

    駅に着く頃にはシマカゼからの返信が来ていた。部活が終わって家にいるようなので、今から会いに行ってもいいか尋ねる。
    「7時半から塾なので、今から出て早めに駅に向かいます」
    「わかった」
    夕方の混み合った車内で、ぼんやりこれからのことを考えながら目を瞑った。

    ◆ ◆ ◆

    「リュウジさん」
    「待たせてすまない、いきなりメールして急がせてしまった、夕飯食べられたか」
    「急いで食べてきました、うれしかったので」
    駅から、ゆっくり話せそうな遊歩道に向かう。
    「今日はクラスのみんなでファミレスにいた」
    「リュウジさんぽくないですね」
    「羽島さんからなるべく楽しむように言われてる」
    「ふふふ」
    シマカゼはクスクス笑っている。似合わないのは自分でもわかっているから、笑われるのがしょうがない。
    「慣れないことしたら、疲れてしまった。だからシマカゼの顔が見たくなった」
    指先に触れる。シマカゼは一瞬止まったようだったけれど、人目につかないようお互い指先だけ繋ぐ。触れた指先があたたかくて、じんわりぬくもりが広がっていく。
    「僕も、会えてうれしい、です」
    チラッと見上げるシマカゼの瞳にたまらない気持ちになる。
    「今週末、一緒に出かけよう。ずっとどこにも行けなかったから、ゆっくり会いたい」
    「…!!はい!部活は土曜日だから、日曜に」
    ぱあっとうれしそうな顔。
    「わかった」
    だいぶ歩いて誰もいなくなった遊歩道、そろそろ駅に引き返さなければならない。
    「シマカゼ」
    後ろから抱きしめる。シマカゼはそっと回された腕に手を伸ばしている。首筋に顔を埋めると、あったかいシマカゼの体温が感じられる。
    「リュウジさん…」
    「少しだけ、こうさせてくれ」
    シマカゼの手に力が入った。同じ気持ちでいてくれるのか。

    しばらくそうして、名残惜しいが離れると、お互い無言でまた駅に向かって歩き出す。さっきまでのもやもやした心が晴れて、穏やかな気持ちでいる自分がいた。

    日曜はどこに行こうか。




    DAY3


     リュウジさんと約束した日曜日、リュウジさんはいくつか買い物したいようで、名古屋駅で待ち合わせをした。迷わないように馴染みのある新幹線改札の前で。
     ここは、僕がアブト奪還がうまくいかず、悩みながら一旦名古屋に戻ったときにリュウジさんに迎えに来てもらった場所だ。
     改札を出たとき、リュウジさんの人影を見付けると、色がなかった周りに色が付いて心が明るくなった。あの頃は手が届かないのが分かってて、リュウジさんに憧れて、恋していて、ちょっとしたことで一喜一憂していた。
     あの頃から一年以上経つ。ずっと受験勉強でゆっくり会う機会が少なかったから、今日二人で過ごせるのがすごく楽しみだった。
    「シマカゼ」
    遠くからリュウジさんの声。淡い色のジャケットを着ていて、大人っぽい雰囲気だ。目を合わせて微笑んでくれる顔がきれいで、どきどきしてしまう。
    「待たせてしまったか」
    「いえ、今来たところです。ここ、思い出の場所なので、前のこと思い出していました」
    「ふふ、そうだったな」
    新幹線の改札表示を見ていた僕の肩に、リュウジさんがそっと手を添えてくれる。
    「あの頃から背も伸びたし、頼もしくなったな」
    「まだまだです」
    「行こう、少し買い物に付き合ってほしい」
    「はい」
    地下鉄で久屋大通に向かう。普段はほとんど乗らないけれど、名古屋駅から数駅で栄に行けることは知っている。小さい頃、父さんとナガラと、大通公園やテレビ塔のあたりを散歩したことがあった。
    「普段はこっちの方に買い物に来ないのだが、タツミに買い物するならココ!と勧められた。俺は服のことはわからないならな」
    「タツミさんとは買い物しないんですか」
    「喧嘩になるし、メシを奢らされて高くついてしまう」
    「あはは」
    「だから行くならシマカゼと行きたかった」
    触れるくらいの距離で並んで歩くのがうれしい。地下鉄を降りてすぐ見えたお店に入る。リュウジさんが行きたかったショップで通学用のリュックを買う。大学生はパソコンの持ち込みは当たり前で、高校までと違う世界らしい。
     店員さんもシンプルなデザインの服を勧めているけど、白や紺の色味を抑えた服は、リュウジさんの色白の肌に映えて、すごく似合っている。ちょっと大人の姿になってしまうのは寂しいし、大学の周りの人から、好かれてしまったらどうしよう、などと不安になってもみる。

    「付き合わせてしまってすまない、昼ごはんにしよう」
    大通公園は僕が小さい時に来た記憶と違って、新しいお店やカフェが並んで、中央には噴水が広がっている。芝生の広場があって、外も暖かいので、テイクアウトにして、外のベンチで食べることにする。
    芝生広場へと続く道にある道にはもう少しで咲きそうな桜の木が。
    「明後日は卒業式だから、制服着るのもあと数回なんだ」
    「大学決まってからあっという間でしたね」
    「ああ」
    「春休み中に、信越方面へ列車の旅に行こうと思ってる。自分の子どもの時みたいに時刻表を見て、ローカル列車の旅だな」
    「前から言ってたのですね」
    「一週間くらい会えなくなるが、大丈夫か」
    「僕の誕生日、会えますか」
    「もちろん」 
    リュウジさんは高校を卒業して、1か月近く大学入学まで猶予がある。
    ご馳走になったサンドイッチはボリュームがあって、一つでお腹いっぱいになってしまった。
    一息つこうと、ドリンクに手を伸ばすと、
    「シマカゼ、ついてる」
    「ん」
    リュウジさんが唇に手を伸ばす。不意に触れられるのにびっくりして、じわじわ赤くなってしまった。
    「…シマカゼ…」
    「……」
    真っ赤になってるのはわかってる。
    「そんなつもりはなかったが、その顔は反則だ」
    「だって…」
    リュウジさんの指が頬をなぞる。この前駅に来てくれたときも、手を繋いだりするので精一杯で、その先のことはずっとしていない。
     けど、好きが高まって、リュウジさんにもっと触れたいし、触れてほしくなっている。それはリュウジさんも同じで、頬に、耳に優しく触れる手が、意味ありげに思えてしまう。
    「しばらく会わないうちに、大人ぽくなったな」
    「去年から背が8センチ伸びました」
    「ずっと我慢させてすまなかった」
    「いえ、こうやって会えてるので……」
    恥ずかしくて目が合わせられなかったけど、今の気持ちが伝えたくて、ギュッと目線を合わせる。リュウジさんの紫紺の瞳とぶつかる。
    「外だと、触れなれなくてもどかしいな」
    リュウジさんの親指が唇にふれる。同じ思いだと分かって、嬉しい反面、苦しくもなる。
    受験勉強が本格的に始まる前は、一緒に名古屋支部に行くと帰りによくキスをした。更衣室や書庫、人目につかないところで。何もしらない僕に少しずつ教えてくれていた。ただお互い実家に住んでいるので、それ以上のことは夏休みリュウジさんちにお邪魔したときに一度、だけだ。
    「…中学の卒業式の日は、早く帰れるし、部活もないです」
    「そうか」
    僕のうちなら、誰もいないはずだ。
    「リュウジさん、うちに遊びに来てください」
    「…わかった、うちだとミユが帰ってくるかもしれないからな」
    そう言って名残惜しげに離れていくリュウジさんの手にドキリとする。また前みたいに触れてもらえるか、期待してしまう自分がいた。

    その後はしばらくお互い言葉少なだったけれど、ナガラの誕生日プレゼントを買うために再び地下鉄に乗って、名古屋城のミュージアムショップに着く頃には、いつも通りだった。戦国武将グッズを何にするかでしばらく悩んでしまい、詳しいリュウジさんにに決めてもらった。
     帰り際、また塾の時間に合わせて僕の駅に来てくれると約束した。こんな何気ない会話も、一緒にいるのもすごく幸せで、ふわふわした気持ちのまま帰ってナガラに不審がられたのだった。

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