良い旅を「いいですか虎杖君。聞かれたことには正直に、そして簡潔に。そうすればすぐに終わります」
「でも俺、やっぱ英語とかわからん…」
日本から遠く離れたデンマークのコペンハーゲン空港、入国審査を待つ人々の列に七海と虎杖の姿はあった。
「大丈夫、私とのレッスン通りに──ok?」
「オ、オッケー…」
はじめての海外旅行にそわそわと落ち着きのない虎杖をよそに、七海は口元に笑みを浮かべ、虎杖の肩に手を置くと「Good boy.」と悪戯に耳元で囁いた。
虎杖はちりりと焦げつくように熱くなった耳を押さえ、七海を振り返ると「ナナミン絶対おもしろがってるだろ」と言ってじっと睨んだ。
「おもしろがってるというよりは"楽しんでいる"という感覚が正しいです」
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