兄さん、逆です「今度の週末、ロンドンに帰ったら初デートなんだ」
「マジか! よかったなリアム」
隣にいる親友は珍しく嬉しさを隠しきれない様子だったから、俺は思わず肩を叩いて祝福した。
最初リアムから恋愛相談を受けたときは正直嬉しかった。信頼されている証だと思った。ミステリアスで隙のない、学内トップクラスの天才イケメンが見せたプライベートに対する好奇心もあった。相手が血縁関係はないとはいえ兄貴だったことは驚いたが、写真を見せられ納得した。写真以外に隠し撮り同然の動画も見せられ、それが相当な量だったのはさすがに引いたが。
キャンパス内の緑地を並んで歩く俺たちに木漏れ日が降りそそぐ。のどかな春の日にふさわしい話題かどうかはさておき、俺は話の続きが気になっていた。
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