無題南山何其悲,鬼雨灑空草。
長安夜半秋,風前㡬人老。
低迷黄昏徑,褭褭青櫟道。
月午樹無影,一山唯白曉。
漆炬迎新人,幽壙螢擾擾。
南山何ぞ其れ悲しき 鬼雨空草に灑ぐ
長安夜半の秋 風前、幾人か老ゆ
低迷す黄昏の徑 褭褭たり青櫟の道
月午して樹は影無く 一山は唯だ白曉
漆炬は新人を迎へ 幽壙に螢擾擾たり
櫟の並木が続く先に、その墳墓は造られていた。
「城市からも離れていて万が一の時にも安心ですし、かといって並木があるから場所が分かり難いということもないでしょう? ここなら……」
聶懐桑は儀式の合間、言い訳でもするかのようにそんなことを言った。
「大哥も、ここなら安らげると思います」
並木も周囲の山々も、赤と黄の華やかな装いである。封じたものを刺激するといけないから棺を挽くのは最低限だったが、その道中だけでも山間の美しさは目に沁みるようだった。
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