依存 ちょっとしたお仕置きのつもりだったが、やり過ぎてしまったかな。部屋の鍵を開いて中の惨状を確認した私は溜息をついた。
扉をくぐり3日ぶりに入室すると血の匂いが鼻を刺激する。ぐしゃぐしゃのカーペットや爪痕だらけの壁紙に金色の血液がこびりついている。一部は酸化して黄土色になっていた。染み付いたその血痕はとても落ちそうにない。
血の汚れだけでなく物の散乱具合も酷かった。部屋にある本棚やクローゼットは全てなぎ倒され、中身がそこら中に散らばっている。本はもう読めないほどに、服は着れないほどにボロボロになっていた。
床に落ちている残骸達を避けながら備え付けられたキッチンへ近づく。そこだけぽっかり穴が空いたように綺麗だった。冷蔵庫を開き中身を確認すると、荒らされた様子もなく、私が入れておいた食材が堂々と鎮座していた。ジュースが入ったペットボトルはキャップすら開いておらず冷え切っている。
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