平和の箱庭公と私の区別をつける。公的立場に私的な選択を挟むべきではない。
指輪を外して一度抱きしめ、ケースに入れる。大事なものだと思う。だから宝物としてしまうのだ。カガリはドレッサーの引出を開けて指輪をしまった。幼い頃から宝物は一箇所に集めていた。譲り受けた友人の緑の宝石や、実の母が自分とキラを抱いている写真…そういうものと同じようにカガリは本当はまとめて自分の大事な人間を宝箱のような箱庭の中に入れて守れたらいいと思う。気付かなかったのだ、当たり前に貰えていたから。子供の感情だ、所有欲がとても深かった。――区切りを付けなければいけない。
生きているならそれでいい。生きていてくれるなら、幸せでいてくれるなら、隣にいるのは自分じゃなくていいのだ。
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