二十世紀玩具　あとがきまずは本編を読んでいただきありがとうございました！ たくさんの方に読んでもらえて嬉しいです。

『月島型アンドロイドを注文した鯉登の家に本物の月島が納品される話』
↑もうこれ完全に出オチでもし書いても月島がわたわたしているのを五百文字ぐらいで書いて終わりだろう……と思っていたのですが『有坂製作所』という設定を思いついてから、あれ？ これもしかしてある程度の長さの話になる？ と思ったらここまでの長さになりました。

・『二十世紀玩具』という副題について
もうタイトルが『月島型アンドロイドを注文した鯉登の家に本物の月島が納品される話』で良いだろうと思ったのですが、pixivの仕様上シリーズタイトル後に各話タイトルが表記され、そこに二回続けてこの長いタイトルが表示されるのを避けたかったので。
・二十世紀玩具は好きなアーティストの曲名から取りました。（そのさらに元ネタは20th Century Boyですね）

・有坂製作所で取り扱っている商用アンドロイドについて
三原ミツカズ先生の『DOLL』というか『集積回路のヒマワリ』をぼんやりイメージして書きました。アンドロイドに倫理観というか拒否権があるというのは鯉登に好き勝手させないようにというより『犯罪行為に加担させられないように』というのを意識しています。まったく出す隙はありませんでしたが、ラストに出てくる月島ベータの耳の後ろにはバーコードがあるとぐっときますね。
・有坂製作所ではセクサロイドなんて取り扱わない！ と思いたい自分と、いや取り扱ってるだろ、と思う自分が戦っています。ただ月島が鯉登に迫るにあたってゴムを用意しているので、とても人間に近い体であるためセクサロイドというくくりでなくとも普通に性交渉できる設定なのかもしれません。（その時の月島がそこまで考えていなかっただけの可能性もありますが。）
・もうひとつアンドロイドの設定はあるミステリ小説を意識して書いているのですが、なにせミステリでネタバレになってしまうといけないので作品名は伏せます。
・せっかく人工生命体の話を書いているんだから、本当は月島本人ではなく月島だと思い込んでいるだけのアンドロイドオチにしようとする心と5回ぐらい激しい戦いを繰り広げてこのラストに持っていきました。

・カラオケのシーンは皆様の心の中の鯉月イメソンを歌わせてお楽しみください。

・実は一番書きたかったのは江渡貝くんが自分で選んで結婚するという部分でした。
原作ではああなってしまったので、ちゃんと自分の意志で自立できるようになっていたらというのはどうしても考えてしまいます。

・月島の地元の恋人について
いごちゃんをイメージして書きましたが、別にいごちゃんじゃなくてもいいし、江渡貝くんの結婚相手についてもそうですが性別もどちらでも良いと思って書いています。
・いごちゃんだった場合どうして別れたのかの理由も一応考えてあったのですが、話の本筋とは関係ないためこうなりました。月島とは別に恋愛以外の理由で別れていても良いと思っています。
・カラオケで月島が運命の人は僕じゃないを歌っているのは、鯉登を無下にしているだけではなく、この昔の恋人のことを思ってもいます。

・お話を『少し未来の日本』として書いたのは、人間と見分けのつかないアンドロイドが出てくるのと、そのころには当たり前のように同性婚ができるようになっていたら良いなという思いからです。鯉登は実家に結婚の挨拶に行くつもりですが、その時も同性であることには特に引け目を感じません。月島はただ恋人の実家に顔を出すのが気まずくて嫌がっています。
・少し先の未来ならもうちょっとインフラが進化していて欲しいですよね…そのあたり力不足でした。

・月島の音声収録は実際の音声読み上げソフトの録音方法だそうです。
・「ふんにゃらひょー、はんみりせー」は某嵐を呼ぶ五歳児のお風呂をかき回す時の掛け声です。

ここから本編に入れられなかった設定。
・鯉登は前世で一度月島に本人なりにちゃんと気持ちを伝えたことがあったのですが、月島は気づかずスルーしています。鯉登が月島との恋愛に対してちょっと及び腰だったり悲観的だったりするのはそのせいもあります。
（2023.5 追記：最終話の「いつもまっすぐな人だな」を考えると、鯉登は月島が気づかないような遠回しな告白はしなさそうですね）
・この話の尾形はなんやかや鯉月に絡んでいって一見横恋慕で邪魔をしているように見えるかもしれませんが、実際は恋心ではなく独身仲間だと思っていた月島が鯉登の登場により独身ではなくなりそうで寂しくて八つ当たり的にこういう行動を取っています。
・有坂製作所内にいる前世の記憶のある第七師団関係者は、月島が鯉登に会いたがらないのは前世で鯉登が月島に（なんかいろんな）無理を働いたからだと思っています。（だからどちらかと言えば皆月島の方に協力的だったし、懸賞金を懸けられても黙っていた）谷垣が鯉登の家で月島の心配をしているのはそのためです。

・有坂製作所職員はプライベートでSMSのやり取りをしていることが多いのですが、月島は一度アプリをインストールしたものの使いこなせず、飲み会などを行う時は幹事が月島だけ個別にメールすることになっています。
月島が知らない間に皆が月島抜きで飲み会をしていることがあるのは、鯉登が参加する場合だけでなく、月島に個別にメールをするのを幹事が忘れているためです。月島が社内でハブられているわけではないです。月島もこの後鯉登と連絡を取るために再インストールして教えてもらいながら使えるようになるはず。
・鶴見部長は家族間ではSMSを使いこなしているのですが、プライベートと仕事を分けたいので職場関係の仲間とはメールでやり取りしています。下戸なのもあって飲み会はお金だけ出して不参加のパターンが多い。良い上司ですね。

・鯉登の住んでるマンションの1階はスポーツジム（ゴールデンジムという名前にしたかった）が入っている設定で、鯉登は自分の家の中にトレーニング器具のある部屋を持っているがジム会員でもあり、月島も全国のゴールドジムが使える高い方の会員なので鯉登がいない間に1階のジムを利用している…という話を入れたかったのにどこにも使えませんでした。そのためにゴールドジム会員の友達に会員ランクの説明までしてもらったのに…！ 現パロの陸軍関係者の皆様にも明治と変わらない筋肉量を保って欲しいと思っています。
・前山さんを出したかったのに出せませんでした。すごく出しやすそうな話なのに…！ しかしファンブックのQAを読むともうただの良い人としては出演させられなさそうでドキドキします。

・杉元と白石は最初鯉登の大学の友達として出演予定でしたが、なるべく年齢を原作に近づけたかったのと白石だけ先に鯉登の家に出てきて欲しかったのででナシになりました。
・年齢に関しては江渡貝君だけこの話の中では27歳ぐらいの設定になってしまったのが心残りです。現代で剝製製作所を持っているとするとどうしてもそれぐらいの年齢になりますよね。
・杉元が登録しているのは某得意を売りたい登録制サービスをモデルにしています。私の友達がそこに登録したという話を聞いて思いつきました。どうでも良いことですが友達はそこで占いをしているそうなので私もこのまま鯉月を好きでいて良いのかどうか占ってもらいました。（2021年8月ぐらいで本誌の今後の展開が不安だったので……）結果は良いそうです。お金を使うと吉と出ましたので、薄い本やグッズをたくさん買いたいですね！
・鯉登が懸けていた懸賞金は知ってて黙っていてくれた有坂製作所内の第七師団関係者と杉元達で山分けされました。杉元達はそのお金ですたみな太郎に行きました。

・アンドロイド月島さんのお話はこれで一応終わりなのですが、思いついたら続きを書く可能性があります。
（その際にはここで書いた裏設定が盛り込まれたり関わったりするかもしれません）良かったら暖かく見守ってやってください。

最後に改めまして、ここまで（こんな長いあとがきまで）読んでくださりありがとうございました！

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