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    センリ°F

    メディア欄整理のためのプラス用格納庫。ぷらいべったー以外のサブのシリーズものを置いています。

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    現パロ🃏💋🐯宅の居候猫こと🌸
    *🃏💋はお休み、🌷🌐が出ます

    -🃏相手プラスだけど逆ハー気味
    -🐯は🃏💋宅の同居人
    -🃏がある日🌸を拾ってきた
    -恋人というよりもほぼペット扱い
    -ゆるいシリーズ

    ##同居人シリーズ

    友達の話ローはあからさまに「また面倒なことになった」と溜め息を吐きながら、電子マネーで支払いをスマートに終えた。猫が「暇だからコンビニに行きたい」と言ったので、ちょうどエナドリが切れていたからと軽率に同行してやったのが悪かったのだ。
    店の外にはいかついバイクが2台、その横にはヘルメットを外したいかつい顔がふたつ。鉢合わせて「あ」とマヌケな声を出したのは猫と、真っ赤な頭と唇の男である。それに加えて、今日は向こうにもツレがいるらしい。
    「キッドくんのお友達ですか?」
    「まあそんなところだ」
    ホットスナックを大量に購入しているユースタス・キッドの横で、缶コーヒーと惣菜パンを会計しているキラーへ、猫が話しかけている。
    マヌケな退店の音楽を鳴らして早々にコンビニを後にしたいところだが、なぜか妙にキッドに懐いている猫は一直線に派手な色したバイクへ向かった。オイ、とローが止めても聞かない。
    「キッドくんの、どっち?」
    「こいつだ」
    黄緑の蛍光色が目に痛い。ローもよく世話になっているエナドリのステッカーが貼られたバイクを、キッドは自慢げに撫でた。
    「かっこいい!」
    「だろ?」
    得意げにアメリカンドッグへ噛み付く口からはキバが見えている。だから面倒なことになるんだ、とローはノンシュガーのカフェラテを啜った。熱くてロクに飲めやしない。
    猫は車止めに腰を下ろすと、派手な色のバイクを見上げながらおでんのカップを開けた。もわりと湯気がたつ。
    「キッドの友人にしては珍しい人選だな。なんで仲良くなったんだ?トラファルガー」
    「考えたくもねェし答える義理もねェ」
    赤と黒のこちらのオフローダーも、明らかに只者ではない雰囲気である。キラーが不思議そうに尋ねる横で、ローは黙秘した。寒いし早く帰りたい。
    ブレーキローターの精巧なデコボコやトゲトゲを、綺麗だなぁと見つめながら、猫はちくわぶをチマチマと齧った。バイクのことはさっぱりわからないが、たぶんドフィさんはミリほど興味がないと思う。ロシナンテなら、ちょっとわかるかな。
    真剣にじぃと愛車を見つめたままおでんを食べる猫を、キッドは面白げに見下ろしていた。ギャーギャーうるさい女よりこっちのほうがよっぽどイイ。トラファルガーと違って礼儀もそれなりだし、ムカつく要素もない。
    唇についたケチャップをペロリと舐め取って、キッドは愛車にぐうと寄りかかった。猫の上へ、影ができる。
    「乗せてやろうか?」
    「オイ、」
    先に返事をしたのはローである。そもそも「乗せてやろうか」なんて言えば、このバカ猫は「うん」と答えるに決まっているのだ。
    無論、その答えに顔を顰めたキッドは、ヘルメットを弄びながら噛み付いてきた。
    「おまえには聞いてねェよ」
    「どっちみち同じだ」
    「ローくん、おでん持ってて」
    「断る」
    ほら見ろ、とローが睨んでも、猫はもうその気でいる。今日は都合のいいことに「俺が代わりに持とう」なんて言い出す男までいる始末だ。
    車止めから立ち上がった猫がキラーにおでんのカップを手渡したところで、キッドがバイクの左横へ手招く。
    大型二輪のオフローダーは、猫の身長では跨ることも一苦労だろう。ふむと思案して、キッドはグローブの付いた手を猫の脇の下に差し込んだ。わ、とマヌケな声がして、ムートンブーツがアスファルトから離れる。
    「おまえ軽いな。わたあめみてェ」
    キッドの軽口に、ローは口を引き結んだ。ユースタス屋てめェ、それ以上ウチのバカ猫にベタベタ触るなよ。面倒事だけじゃ済まねェぞ。
    粗末な座面に降ろされた猫が、どこへ足をかけてよいか迷っているうちに、裏起毛レギンスの足首を大きな手が迷いなく掴む。ついでに寒さで赤くなった指をハンドルにかけてやろうとしたが、腕が短すぎて届かないので、キッドは声をあげて笑った。
    「フハ、短ェ手足。バイクは無理だな」
    「あ、キッドくんこわい。手、はなさないで」
    傾いた単車の上から猫は手を伸ばした。こちらも迷いがない。分厚いライディングジャケットを掴まれて、キッドは目を細めた。
    細っこくて白いいきものは、ちょっとトラファルガーが目を離せば誰にでも簡単に攫えてしまうだろう。その後に起きるややこしい事態を抜きにすれば、多少可愛がってやっても損はない。こんな弱っちいやつの何が面白くて傍に置いているのか、理解し難いと思っていたが、存外悪くないかもしれない。
    「…今度後ろに乗せてやるから、寒くねェ格好で来い」
    「ほんと⁉︎ありがとう!」
    鼻先を赤く染めて笑う顔に笑顔を返した悪ガキを、少し離れて眺める幼馴染は、顎髭を撫でながら目を細めた。
    「珍しいな。いつもは猫の子にすら触られるのを嫌がるくせに」
    熱をわずかに残した虹色のマフラーが、冬の晴れた陽にきらりと光った。
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