アイアンローズを捜して金のコインが回る中で赤髪の男は、金融街の端にある人気の無い所から金融街の景色を眺めていた。強い者を求めるが、毎回相手が弱く男は羽虫を殺すように戦っていた。退屈な日々が続く中で、胸の中にある誰かを探す想いだけが頼りだった。
生き甲斐の戦闘すら自分に叶う者はおらず、漠然とした時の中で運命の相手を探す事だけが自分を着き動かした、自分の求める相手は現世にいる、人間の中に暮らしてる。それだけを信じた神は混沌とした現代に降り、暫く暮らし所属する会社の役員に抜擢され過ごす中で、ある日自宅に居た所に金融街の遣いを名乗る男が現れ、最初は断るつもりだったが、強い者と戦えると聞き運命の相手が居るかも知れないと、その先の人生を金に変え莫大な金を手に入れディールに参加し続けた。何時しか11人の最上位者の中でも最強と呼ばれる様になっていた。
今日も運命は現れない。そんな中次の対決になり、男は今日も退屈な日々を過ごすのだった。

ディールの日になり対決をする場に男は向かう。対決場所で赤髪の男がつまらなそうに立っていた。
男はまた弱い奴と当たったのかと思いながら、目の前の髪を団子に縛る男を眺めていた。髪を縛る男は凛と立つ姿に何処か引かれ、女のアセットが隣に浮かんでいた。何処か他とは違う気配を感じるが、つまらない戦い等早く終わらせてしまおうと重いながら男に何の感情め映すことなく見詰める。
男の意志の強い瞳に、少しは骨のある奴かと期待したがそれも一瞬だった。
「開始3秒前、2、1、control」
交わす言葉も無く開始の合図が始まり、赤髪の男はキャッシュカードをスライドすると、ミニョルに300万と言う大金追加をし、己の弱体化はしているが使い慣れ相棒を構える。
男はそれに動じる事無く、何処か楽しそうに笑むと、赤髪の男元い金融街最強と恐れられるトールに向かい言葉を発した。
「我が友よ我はこの時を待っていたぞ」
トールを友と呼んだ男を悠久の時を過ごす記憶には存在しておらず、だが何か胸騒ぎがする気持ちに男と合い何かが変わる予感がしたトールは薄く笑む。
どんな戦いの時も笑う事の無いトールの笑みに、観戦していた観客達は驚きを見せた。
男は横に手を構えると、茶髪のアセットが瞬間槍に変わり、此奴も生身で戦うのかとトールを興奮させる。
「少しは楽しめそうだな」
トールはそう呟き楽しげに笑った。

誰がこの様な結果になる事を予想出来たろう。トールの胸元が傷つけられ、胸元から血飛沫が上がるように金が吹き出す。ディールで身体が金で形成される為、自分の持ち金が血液となる。血が出る量は相当な金が消費されるが、トールには微々たる金でもあった。
呂布が楽しそうに槍で攻撃を繰り出し、交戦する。トールは背中が付きそうになる程に身体を反り言った。
「死ぬなよ人間」
直後トールの技の一つトールハンマーを繰り出す。これを出した相手はほぼ居なく、出しても耐えられずに破産をするが、男はそれを耐えて見せた上に楽しそうに凶悪な笑みを浮かべた。
「楽しいな！流石友だ！我が名は呂布奉先、強い相手を求めている」
トールハンマーを返した呂布に、トールは最高潮になりミニョルを下ろすと、何処からか聞こえる鼓動が辺に響いた。
「起きたか、寝坊助」
周囲に響き渡る何かの鼓動、観客も探すが音の正体は見つからない。唯一呂布だけが本人以外でその答えを知る者だとは周りも思わないだろう。響き渡る音が止みミニョルが変形する。途端ミニョルに罅が入り、臓器のような物が間から見えた。ドクンドクンと音が響き渡る。
トールは手袋を外しそれを棄てると、棄てた場所が凹んだ。トールの握力ではミニョルを潰してしまう為に、普段は制御する握力が無くなりミニョルを握ると笑んだトールが悦楽に笑う。
「これを金融街で試すのは初でな。破産するなよ奉先」
トールが振り下ろしたハンマーが呂布に降かかる。誰もが呂布の負けを予想する中、呂布はハンマーを正面から受けると、槍に少しの罅は入る中悠然と笑い立っていた。
「いいぞぉお前！！」
トールはその言葉を聞いた瞬間、今迄の戦いで感じた既視感の全てを思い出した。遥か昔、転生する前に自分は呂布と戦っていた。今とは違う命懸けの戦いでニブルヘル、即ち魂の死を掛けた戦いを此奴とした事を思い出したトールは呂布に告げた。
「奉先！！あぁ…我が友よ！私の…私の奉先…！」
トールの呂布を見る目が変わり、目に宿る激情と執着がトールの笑みに変わり宿る。トールは嬉しそうに、楽しそうに自分の運命を見つけた事に幸せに歓喜した。
それに対し呂布はひとつ笑うと、トールに告げる。
「思い出したか」
「あぁ、あぁ！！奉先！！私の愛する盟友よ！」
叫ぶように告げるトールに呂布が笑い言った。
「ならやる事は一つだな」
「あぁ…心往くまで戦い合おうぞ！」
それから暫くお互い戦い尽くした2人は、トールの勝ちだがお互い損失を少々多く出しながらも運命に出会えた事に悦びあったのだ。

その後のトールは金融街で呂布に合えば、呂布の元を離れる事無く戦いたいと言うのを止めるのに必死な周りが居たのだ。何せ正式なディール以外での戦いは禁止である。だからこそ周りはトールを止め、呂布とミニョルを模した武器を作りのその手合わせだけに留めたのだ。
今日も呂布の傍にトールはいる。未来を語り合いながら。




用語説明

金融街
経済大国に現れる亜空間にある、裏金を稼げる場。選ばれた場合に現実で使えるキャッシュカードを渡され、未来を担保に戦い金を稼ぐ。破産(消滅)まで終わらない。破産したら死か存在が未来が無くなった事で消滅してしまう。負けると少し先の未来で嫌な事が起こる。負けの度数で変わる。

ディール
戦いの事、基本金の多さで変わるが、相手の金で必殺技を撃ちまくることも出来る為に戦いの合否は分からない。基本は金が少ない方が負けが多いが、相手がルーキーでも戦い方で変わる時がある。ただ相手が大量に金が無くなり破産してしまう可能性がある。
中にはバランスディールと言うものがあり、相手の金の割合と1％で勝つこともある。

アセット
自分の失くした未来又はifの世界。この話ではミニョルや自分の力になっているが、人類側は現在転生の記憶のある戦乙女になっていたり、戦乙女は人類が選ばれた時に神の力を使い無理やりアセットになった。
神側は現在封じてる、又は天界に置いてきた武器が顕現する事になっている。主に自分の武器だが、人類が死なない様に弱体化はしている。