拿捕したタイムジャッカーを事務方に引き渡し、本部執務室で上長である管理官に敬礼をした後。
夜半過ぎに足を踏み入れたロッカールームは、空間を塗りつぶすような青白い光の元、人気なくしんと静まりかえっていた。
「理人」
私服を格納しているロッカーの扉に手をかけたところで呼ばれ振り返った先。顎を有無を言わせない指に掬い上げられて、背中に打ちつけるような衝撃を感じる。
「ん……っ」
恋人がいるのが理想的だが、不規則かつ守秘義務を伴う職務のせいか、平和に続いた話を聞いた試しがない。あるいは女を買うようなことをする隊員もいるのかも知れない。
ナハトからの何の甘さもない口づけを受けながら、理人は両の眼差しを閉ざした。
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