「なんですかコレ、饅頭の妖怪ですか?」
「左馬刻だ。先刻から丸まって茂みから出てこない」
「そんな所に居たら虫に刺されまくりますよ…全く、どうしたんですかあの男は。あ、ありがとうございます」
「うむ、銃兎もゆっくりしていくといい。なに突然小官の野営地に来たと思ったら死にそうな顔だったので、丁度出来立ての栄養ドリンクを飲ませたのだが…それからあの状態なのだ」
「それ栄養ドリンクのせいでは?」
「それはない、むしろあれを飲むと元気百倍だ、小官が保証しよう」
「まぁ、健康状態は保証出来るとして…それなら精神面ですか。左馬刻が打ちのめされる事案なんてほぼ限られてるようなものですが」
「妹か白膠木だな」
「じゃあ俺はヌルサラに100円」
「びっっっっっくりしたえなんで居るんですか」
「飯食わせてもらってたんだよ」
「ああ、今日は有栖川と昼食を共にしたのだ」
「そんでお礼に山菜採ってきたんだけどよ、結構時間食っちまって…珍しい昆虫もいてさあ」
「あ詳細はいいです…というか100円ぽっちってどうなんですか」
「金ないんだもんよ〜〜で、アンタらがヤクザの妹に掛けてくれたら10倍で俺の手元に転がるって算段だぜ」
「アホなんですか?」
「小官も白膠木に賭けるので銃兎次第だな」
「マジか〜!これで妹関係だったらケーカンが全部持ってっちまうじゃんか」
「何勝手に進めてるんです、理鶯も雑な賭けしないでください」
「ともあれあの左馬刻の反応は妹の感じでは無いだろう、妹ならもう少し我々に話を振るはずだ」
「確かに、合歓さんに問題が起これば相談とまでは行かなくとも経緯は話してくれますからね。となるとやはり白膠木さんですか」
「んだよ賭けになんねーじゃん」
「人の悩みを賭けにするのはどうかと思いますよ」
「悪徳警官がそれ言っちゃう?」
「そろそろ話しかけてやるべきだろうか」
「えー…絶対藪蛇か馬に蹴られるやつですって。放っておくのが吉です」
「なぁなぁヤクザ〜どうしちまったんだよ、ヌルサラにフラれたか?」
「あ馬鹿」
「……殴られたな」
「50Mくらい吹っ飛びましたね」
「左馬刻、一般人に突然の暴力は良くない、予告は大事だ」
「問題は全くそこじゃないんですよ理鶯」
「………うるせぇよ」
「はぁ、おい左馬刻、いつまでもちっちゃくなってねーでこっちに来い」
「やはり虫に噛まれてるな、薬を持ってくるから塗るといい」
「………わりぃ」