「……というわけで、弟達を独り立ちさせるまではまだ考えてないっす…きっと付き合っても上手く時間取れねぇし…」
「そっかぁ」
「すんません」
「ええのええの。俺が勝手に思ってただけやし、その子にもまだなーんも言ってへんから!気にせんで!」
「はい……あの、簓さんこそどうなんですか、芸能界かわいい子ばかりでしょ」
「いやぁ、え!?一郎ってそういう話するタイプやっけ?」
「折角なので、ちょっと興味はあります!」
「目ぇキラキラやんけ…」
「簓さん女性からも人気ありますよね?この前芸能人同士の告白の番組出てたの見ましたよ」
「うげ、見てたん?あれはエグい企画やったなぁ相手の子ぉにも悪かったし…難しい塩梅やねぇ」
「芸能界って結構容赦ないですよね」
「ああいうのはテレビ側との相性やからなぁ〜俺はやっぱ板でやっとるのが一番好きやけどな」
「……で、どうなんです?」
「クソ、話逸らせへんかったか…!」
「ははは」
「でも確かに可愛い子も美人さんもようけおるけど、恋愛するっちゅーと俺も考えた事ないわぁ」
「容姿よりも面白さとか?」
「いやぁおもろいから恋愛対象ってわけちゃうで…そりゃ要素ではあるけども。確かにあんま見た目は気にした事無かったなあ結局好きになった子ぉが可愛く見えたりするもんやん?」
「そうっすねー」
「見た目ゆうたら外見気にせず中身で惚れたら実は世間的に美女やったっちゅーパターンとかな」
「そ、それは世間知らずじゃないすか?」
「えっそやろか」
「アイドルをフラットに好きになってから実際その子の見た目も可愛かったのを実感する…みたいな感じっすよ。アイドルなのに」
「あ〜でもそんな感じない?こいつ改めて見たらごっつイケメンやな!?みたいな」
「ん?イケメン?」
「ッほら、ダチでも普段気にせんでもふとした時にあれっこいつ顔ええな〜!みたいなのあらへん!?」
「あーーどうだろ…あったかな…」
「あんねんあんねん、まぁそんな感じや」
「なるほどなー」
「うんうん」
「簓さん好きな人いるでしょ」
「ブフォあ!!!」
「………」
「………クリームソーダのクリーム全部飛んだわ……え???なして?なんでそんな急に」
「だって怪しいですもん」
「どこが???今吹いたから?」
「それもありますけど、さっき思いました」
「あんな一郎、言われたくないかもやけど話の持って行き方がお父ちゃんとそっくりや、ノせといて隙作ってすかさず壺売る感じが」
「それ例えですよね?嬉しくないっすね…」
「え〜怪しいってどこがや、普通やったやろ?」
「いや、最初に話逸らそうとした事がもう誰か特定の相手いるのを隠してるのかなって」
「ひぇ…」
「あんまり深入りされたくないって事だから、芸能人なら恋愛NGの事務所の子か既婚者かと思いました」
「いやいやいやそれはないで!」
「一般の人でも軽率に言えないか言いたくないって事は、特殊な職業か夜の仕事か既婚者か」
「既婚者から離れてくれへん???」
「うーんそれか同性か…」
「いやいや、わかった、うん、俺は付き合うとる相手はおらんけど、好きな子はおる!ちゃんと独身の!一般…の子や!」
「な、なんかすみません誘導尋問みたいになっちゃって…」
「ええんよ……でも女の子にそゆのあんまりつこたらあかんよ一郎、泣いてまうから」
「っす、覚えときます!でも聞いといてなんですけどちょっと意外でした、簓さんも片想いとかするんですね」
「俺かて心は普通の男の子やで、片想いやってするわ」
「いえそうじゃなくて、簓さんはかっこいいし話上手だし、口説いたりしたらすぐ相手の人とお付き合い出来そうだなって」
「一郎…俺のことかっこええと思ってくれとるんか…」
「思ってますよ、ラップも楽しいし頭もいいし…ギャグはダメですけど」
「ダメってなんやねんダメって!」
「その人とは付き合えないんです?」
「あーほら一郎と一緒や、俺も仕事忙しいし、向こうも仕事大変そうやし、そもそも全然会えへんねん」
「そうなんすか?」
「おん、俺は関西拠点やろ、向こうはこっちに住んでんねん」
「え?一般の人ですよね。離れてるのにどうやって出会ったんです?」
「でっ……出会いは……なんやったかな……俺の…一目惚れやったかな」
「簓さんさっき見た目気にした事ないって言ってませんでした?」
「………」
「………」
「………もうアカン!!!無理や!!!」
「えっ」
「俺ちょっと動揺しとるわ!!一郎ちゃうかったら絶対こんなボロ出さへんのにもうボロボロや!!おまえ旧友やし核心ガンガン突いてくるから簓さん身がもたへん!!」
「す、すみません…」
「泣きそうや…」
「や、やめましょうこの話!俺簓さんのそういう話聞いた事なかったから浮かれちゃってました!プライベートな事っすもんね!聞かれたくないっすよね!!」
「聞かれたくないっちゅーか……一郎は嫌がるかもって思てな…」
「お、俺が嫌がる…?」
「………うーん、でもなぁ、この際折角やから俺の相談乗ってくれへん?」
「え、勿論!なんでも言ってください」