「……軍師」
「ん。どうしたの」
「いい加減、自室へ戻られたらどうです」
「だって一氏くんの部屋、書庫から近いんだもの」
「軍師、」
「あと少し……」
「あいつ、来ますよ」
「えっ」
半兵衛は慌てて身を起こして身だしなみを整える。途端に足音が聞こえて障子に影が落ちた。
「失礼する。一氏、先輩はこちらにいるか?」
「あぁ」
「う、うん!いるよ」
「よかった……失礼します」
見計らったように官兵衛が部屋を訪れる
「どうしたの、官兵衛」
「少しお聞きしたいことがありまして」
「僕でよければ。何かな」
「はい、この書のこの記述なのですが」
すぐに二人の世界に入る様子を見つめてる一氏。
先程までの寛ぎきった様子から襟をただしてしゃんとした様子の半兵衛の姿を見て、その切り替えの速さと落差に思わず笑ってしまい、口元を押さえる。
話が終わったのか官兵衛が部屋を後にする。
「お疲れ様です」
「うん。……ねえ、一氏くん」
「はい」
「さっき笑ってたでしょ」
「……いえ」
「いや、明らかに笑ってたよね?! というか今も肩震えてるでしょ」
「いや、だってあんた、っく……」
「やっぱり笑ってるじゃん!」
「すみません。……けどあまりにあいつが来る前と来た後の差が……ふは」
「も〜!好きに笑えばいいよ……」
「拗ねないで下さいよ」
「……だって後輩の前では格好つけたいじゃないか」
「ふ」
「もう、今度は何……」
「いえ。……軍師は俺の前では格好つけないんですね」
「だって、もう格好悪いところを知られてしまってるでしょ。ならどれだけ格好つけても変わらないかなって」
「ちゃんと格好いいですよ」
「機嫌を取ろうとしても遅いからね」
「俺がおべっかを言えると思いますか」
「思わない……、というかその方が照れるから!」
また笑ってる一氏。珍しい、と半兵衛が目を丸くする。
「なんか、ご機嫌だね」
「いや、あんたがそうやって肩の力を抜ける場所になれてるなら、良かったなと」
「っ、一氏くんさ〜……」
「? はい」
「いや……。なんでもないや。ごめんね、長居して。そろそろお暇するよ」
「はい、ではまた」
「……うん」
元ネタ(7/22のツイート) https://twitter.com/yumez1z/status/1418024088337936384
あと自分の前だと少しだらしなくしてるのに後輩が先輩〜と来ると急に居住まいをただすのでちょっと笑ってしまって俯く一氏くんとかみたい あとで半兵衛にも〜!笑ってたでしょと言われる