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    ふきのとー

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    ふきのとー

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    リクエスト頂きまして誠に有難うございます。

    性癖パネルトラップ1(恋愛無しバージョン)
    クロムとエクスで

    「 静かにも白熱している戦闘シーン(剣VS剣) 」

    完全に趣味です。以上!!!

    シエル君目線です。
    戦闘シーン、滾る。

    性癖パネルトラップ1リクエスト頂きまして誠に有難うございます。

    性癖パネルトラップ1(恋愛無しバージョン)
    「 静かにも白熱している戦闘シーン(剣VS剣) 」
    エクスとクロムで

    完全に趣味です。以上!!!

    *ふんわり設定
    *どこかの国の騎士団とかのパロだと思ってください。(雑)
    *クロムが隊長で、シグルさんが副隊長。エクスがエース。シエル君が新人的な。(雑)
    *騎士団の演習中、あまりにも周囲の騎士(と書いてブレーダーと読む)が不甲斐ないので模擬戦を見せてやると隊長自ら出て来た。そして相手にエクスを指名。
    訓練にあまり真面目に参加してないが実力だけはあると周囲に一目置かれているエクスの本気と隊長の戦いを見られると皆が手に汗握って見守っている、的な。(雑)
    *書きたいシーンだけ書きました。





     纏う白銀の甲冑で陽光を跳ね返しながらクロムが静かに模擬刀を構えるのに対して、幼さの残る顔を柔らかな笑顔で歪めたエクスは楽し気な声音で応じた。

    「遠慮しないで全力で掛かってきてよ、クロム」

     この隊で隊長の彼の名を呼び捨てに出来るのは彼と副隊長だけだ。親し気な様子だが、この台詞は明らかに強者がその下に向かって放つ、余裕があるときのもの。それを彼は挑発ではなく本気でそう言っている。
     いくら実力が認められているとはいえ、隊長のクロムを慕う見習い騎士たちは途端色めき立つ。シエルもかつてはその一人だった。しかし、とあることからクロムとエクスの間にある他の誰にも代替できない執念のような因縁のような関係性を知ってからは表に出すことはしなくなった。代わりに血管が浮き出るほどに拳を握りしめる。
     クロムはエクスの無礼にも捉えられる発言にも、周囲の喧騒にも、まったく顔色を変えなかった。
     ゆっくりと模擬刀を振り上げ、鋭く振り下ろす。
     
     ブンッ

     風切り音の冴えは、二人の模擬戦の始まりを固唾をのんで見学していたシエルの意識を一瞬刈り取る程に鋭かった。それだけで、彼の実力が肌身を通して察せられる。
     やっぱり、クロム隊長は強い。でも──

    「クロム隊長とエクスさん、本気でやり合ったらどっちが勝つんですか」
     
     隣で腕組みをしたまま二人を観察していたシグルにシエルは訊ねた。模擬戦が開始される前から渦巻いている圧に一人で耐えきれなかったのもあるし、二人と最も長く時間を共有している副隊長に見解を聞いてみたかったというのもある。
     シグルは普段と変わらない、感情の起伏の乏しい表情のまま淡々と答えた。

    「エクスの方が技巧と速さは上。でもクロムの方が力も体力も体格も有利。長引けばクロムが勝つことがある。エクスは気分によって一気に勝負を掛けようとする時と出来るだけ長く遊びたがる時があるから、勝敗はどうなるか分からない」

     どちらにせよ、シエルからしたら遥か高みにあるステージである。
     立会人が両者の間に進み出て来た。

    「いざ尋常に」

     ピン、と。
     対峙する二人と、場内の見物者たちすらも緊張の糸が張り詰める。

    「始めっ!」

     掛け声と共にクロムが模擬刀を上段に構えたまま、じりじりとすり足で進み出た。
     間合いを慎重に測りながら、エクスの動きを見逃すまいと鋭い眼光を向けている。
     それに対してエクスは自然体だった。下段に構え、クロムの動きを瞳に捉えたまま、口元に浮かべた彼の特徴的な柔らかい笑みを絶やさない。
     これは間合いを相手が詰めてくるのを待ち構えているのだろうか、と思ったらいきなりエクスは一歩、クロムの間合いに踏み込んだ。不用意なほどの無防備さで、無造作に一歩。
     反射のようにクロムの剣先がすかさず反応した。剣先が背後に揺れたかと思うと、次の瞬間にはエクスの肩口から斜めに斬りつけるように、模擬刀の銀色が走った。
     これは躱せない、勝負あった。
     そうシエルは確信したというのに

    「え?」

     シエルの間の抜けたつぶやきが風が斬られた軽やかな音に混じっただけだった。
     クロムの鋭い斬撃を、まるで予め軌道が予測出来ていたかのように軽やかに搔い潜ったエクスが、深くした笑みを張り付けたままで刀を鋭くクロムの胴に突く。甲冑を掠ったようだが、クロムは体を捩っていなし、再び間合いを取った。エクスの身体が一瞬沈み、バネのように伸びあがって追撃の小さなナイフを一本投げつける。クロムは冷静に見定めて刀で弾き落とした。
     彼らの動きに遅れて、カン、という金属音が遅れて脳に届いた。
     あまりにも一瞬の攻防に、シエルは呻き声すら出せない。
     エクスの最小限の動きで繰り出される最大限の戦闘技巧を間近で見て、シエルの背に戦慄が走った。

    「クロムが焦った。もう少し冷静に対処したら直ぐに二撃目を繰り出せて追い詰められたのに」

     シグルの冷静な指摘が頭の上を滑っていく。

    「大丈夫、このまま引き下がるような男じゃないから。ほら、動く。目を離さないで、シエル」

     シグルの声を合図にするかのように、今度はクロムから仕掛けた。
     ゆらりと身体が揺れたように見えたかと思うと、見る間にエクスとの間合いを詰めている。その姿がかき消えたかと錯覚するほどに速かった。
     中段に構えた刀を、身長差を生かした上段から思い切り叩きつける。

    「横から来た方が良かったのに」

     軽口を叩いてエクスは猛撃をひょいと避け、自身の刀を横薙ぎに払った。

     カン、

     両者の刀が打ち合い、乾いた音を響かせる。
     クロムの方もエクスの動きを予測していたようだった。

     カン、カン、
     カン、カカン、カンッ

     二手目、三手目、下腿を、胸板を、喉元を、エクスから、クロムから、あらゆる角度から変幻自在に襲い来る打ち込みをする度に、小気味よい音が場内にリズミカルに響いた。
     クロムの計算し尽くされた連続攻撃をことごとくいなしているエクス。
     拮抗した実力者同士でしか実現できない怪我と隣り合わせの物騒な円舞曲。勝敗を付ける為というより、共に踊っているかのような息の合った動きだった。
     
     ──エクスさんも、クロム隊長も、楽しんでいる?

     クロムの腕力にエクスの細腕が耐え続けられるわけがないのだと、当たり間のことにようやく思い至った。二人とも、遊んでいるのだ。
     それでも極度の集中で攻防を繰り返し続ければ消耗する。傍からでも、二人ともその額に汗を湿らせているのが見て取れた。

    「次で、決まる」

     こういう時のシグルの推測が外れたことはない。
     シエルは音を立てて固唾を飲み込み、一瞬たりとも見逃すものかと両眼に力を籠めた。見えないものすらこの目に焼き付けてやるつもりで。
     両者は重たい音を立てて地面を蹴り付け、互いへとまっすぐ刃を突き付けた。
     身体が交差し、そうして

     ……予測していた斬撃、あるいはどちらかが地面に倒れる轟きは、いつまでたっても聞こえてこなかった。

     しん、と周囲は水を打ったかのように静まり返った。
     気づいた時には、エクスの白磁の頬に赤い線が走っており、クロムの喉元に切っ先が僅か数ミリの場所で止められていた。
     二人とも、相手の突きを躱すことなど一切せずに、相手の急所を狙う一撃にのみ全身全霊を込めたのだ。
     二人がもし本気で、体重も速さも込めて、命を取り合うような場面だったら、きっと互いに無事では済まない。
     なんだこれ、これは何なんだ。オレが今見たものは何なんスか。
     結果だけ見たら相打ちだ。しかし、少し風が吹いただけでクロムの喉にはエクスの切っ先が突き刺さる。
     これは、本当に模擬戦なのか?
     こんな、捨て身の戦い方なんて、クロム隊長は

    「そこまで!」

     審判の鋭い制止に、ようやく会場の凍り付いた空気が散り、遅れて騎士見習いたちの歓声が沸いた。その顔は圧倒的な戦いを見られた興奮で彩られている。
     シエルのように全身にぐっしょりと冷たい汗を流して言葉を失ったままの者は少ない。

    「え~、もっとやりたいよ」
    「無茶を言うな。これ以上やったら俺かお前のどちらか、あるいは両方が暫く再起不能になる。騎士団としての仕事をこれ以上遅らせるわけにはいかないからな」

     納得できない顔でエクスは黙り、ややあって、何かを思いついたように片づけの指示を飛ばしはじめたクロムに近づいた。

    「ねえ、クロム。同じ騎士団内だから全力で戦い合っちゃだめなんだよね?」
    「当たり前だろ。ほら、お前も片づけを始めてくれ」
    「……うん!」

     エクスは笑う。いつも通りに無邪気に。
     偶々二人の会話を聞いてしまったシエルは嫌な予感を覚えた。具体的には分からないけれども、悪魔が笑ったかのような、そんな気がしたのだ。

    「気のせい……っすよね」

     

     この暫く後、エクスは急に退団し、敵対する国の騎士団に入団する──ただ、クロムと全力で、命を掛けて、戦いたいが為だけに。
     そんな事態になるなんて、シエルはこの時はまだ夢にも思っていなかった。
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