ハナカスを考えてみた その2 運転士として時間は守ること。そう指導しているからには自分自身はより厳粛に。
そう自らに課している吾孫子カスミは、シュミレーション訓練の時間が近くなったので彼女の指導下にある子ども達を呼びに行った。靴音を立てて、いつも彼らが待機している部屋に入る。
中では"適合率"という数値によって選ばれた子どもたちがちゃんと待っていた。いや、待っていたというのは正しくない。各々やらなければならたいこと、または好きなことをしながら時間を効率的に使っていた。
例えば30分ほど前に到着したばかりのシンはまだ宿題の途中のようだった。学校配布のタブレットを抱えて眉根を寄せている。
今時の宿題はタブレットでなのね、とジェネレーションギャップを受けたカスミは、声を掛けるのを忘れてランドセルに入るサイズのタブレットを入口から見つめた。おかしい。そんなに自分の頃から時代は経っていないはずなのに。
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