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    anosora_story

    @anosora_story

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    anosora_story

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    仗露。未来捏造。
    全然仲良くない2人が利害関係だけで同居を始める話。

    ※校正してない一発書きなので荒いです。

    #仗露

    広い家 4 自分の部屋のベッドで、仗助は壁に背を預けて自慰に耽っていた。
    「はぁ……あー」
     目を閉じて思い出すのはクリスマスの夜。自分の手で果てた露伴である。耳に注ぎ込まれるような距離で聞いた息遣いや、押し付けられた体から伝わった熱を思い出すと腹の奥から劣情が沸き上がった。偉そうに自分のモノを愛撫していたのも堪らない。あんな風に高圧的に責め立てるくせに、自分が感じる時には奥ゆかしく「もっとして」なんて言うのだ。
    「露伴……っ」
     あの時の露伴を思い出してすぐに達した。
     
    「あーあ」
     あの一件で露伴に対して何か抱える感情が変わったかといえばそうでもない。友人に近い同居人。仗助の意識はそこから変わっていなかった。しかし、こうやって自分を慰める時に思い出すのは全て露伴になっている。
    「ずりぃ」
     恋人と別れて以来、仗助は自慰の頻度が落ちていた。精神的なものだとは思うが、全くそういう気が起きずにいた。生理的に出さなければということはあったが、入浴中についでで済ませる程度のものである。ところが、クリスマスに抜きあってからは毎日こうして吐き出さないと落ち着かなくなっている。
     決して健全なものではないと、必死でこれまで経験した女性たちとのセックスを思い出そうとするのだが、途中で想像している相手が露伴に塗り替わってしまう。露伴が足を開いて自分を求めるような痴態を想像してしまい、慌てて頭を振る。そんなことの繰り返しだ。
    「明日から実家に帰ってくる。戻るのは多分三が日が明けた後だから」
    「え」
     クリスマスの翌日に、露伴はそう言って出て行った。この家には仗助だけが残っている。同居を始める前、家にいるのが苦手だった頃が今は遠い昔のように感じられた。まだ一緒に暮らして三か月しか経っていない。
    「腹減った」
     スウェットと下着を穿き直し部屋を出る。リビングに入ってテレビを点けると「今年もあと二日です」とアナウンサーが喋っていた。いっそ仕事が忙しければ、露伴が帰ってくるまであっという間に過ぎるのに。無意識にそう考えて、仗助はギョッとした。
    「いやいや、さすがにやべーだろ」
     依存し過ぎである。しかし、ごまかしようのない寂しさは常にあった。料理も露伴がいなくなってからは一度も作っていない。シンクには使ったコップがいくつも並び、生活が荒れてきているのを見せつけているかのようだった。
    「はあ」
     電子ケトルに水を入れスイッチを押した。水が沸騰するまでの間に、買い置きのカップ麺を取り出す。昨日、まとめてコンビニで買ってきたものだ。その中から適当なものを選び、封を開ける。ケトルからはコポコポと湯の沸く音が聞こえてきた。ぼんやりとそれを聞きながら、露伴は「カップヌードルはしおが一番」と力説していたのを思い出した。仗助はしおを食べたことがなかったが、露伴が好きならと買い置きのストックに入れるようにした。
     一緒に住んでいるのだから当然だが、露伴の影響はかなり大きくなっている。基本的に、仗助は自分の懐に入れた人間を非常に大切にする傾向がある。家族や友人、恋人もそうだ。そこへ、そのどれでもない同居人という存在が出てきた。仗助は友人になって欲しいと思っているが、露伴はどうなのだろうか。
    「……友達、か?」
     湯が沸いた。カップに熱湯を注ぎ蓋をして、また考える。確かに友情は期待した。期待していた。料理をするようになったのも、露伴と親しくなれると思ったからだ。実際、餌付けが功を奏したのか露伴との距離は目に見えて縮んでいる。今なら、友人たちの前で「嫌い」なんて言われないだろう。言われないと信じたい。露伴も、仗助と同じで好きになった相手にはとことん甘いタイプのはずだ。
    「友達か」
     友達なのだとしたら、自分は友達で抜いていることになる。それは、とても気まずい。悶々と考えている間にカップ麺が出来上がった。それを立ったまますすって、あっという間に食事を終える。スープを流しに捨てて、ゴミを袋に突っ込んだ。
    「年末を迎える準備が本格化しています!」
     点けっぱなしだったテレビを見れば、上野のアメ横の映像が流れていた。この年末年始は、仗助は実家に帰らないことになっている。母親が親戚と旅行する予定で、戻ってもいいが誰もいないと言われていた。それなら、ここにいるのと同じである。
    「はあ」
     寂しくなってきた。家の中にはテレビから流れる音しかしない。どこにも人の気配がしない。露伴に会いたい。せめて気配でも感じたい。ふらふら廊下へ出て、仗助は露伴の部屋の扉を開けた。
     カーテンの閉まった部屋の中は薄暗い。大きな机とベッドがあり、床にジャンプが積まれていた。これは編集部から送られてきているものらしい。机の上もきれいに片づけられ、ベッドも整えられていた。
     当然、誰もいないのだがこの部屋には露伴が感じられた。あの男が生活している場所だとわかる。しばらく部屋を見回していたが、足が勝手にベッドへ向かい、そのまま倒れこんだ。布団からは良く知った洗剤の匂いしかしない。露伴の匂いがしたらいいのにと大きく息を吸いこんだところで、仗助はハッとした。
    「……まずい」
     匂いがしたらいいのにってなんだ。感じてどうする。何がしたいんだ。恐ろしい気持ちになり慌てて飛び起きて部屋を飛び出した。
    「俺……なにを」
     寂しくて露伴の部屋に入り、ベッドに体を投げ出して、そこで匂いを嗅ぐ。思い返しても常軌を逸している。背中が冷たくなるような感覚になり、もう一度露伴の部屋に戻った。そこで自分の形にへこんでいる布団をきれいに戻しておく。改めて今の行動を振り返ると家に籠もっているのが良くないように感じられた。誰かに会おうと決め、仗助は友人たちにメールを送った。
    「よし」
     突然の誘いにも関わらず、億泰も康一も今晩空いているらしい。大晦日の明日は予定があるものの、今日は暇だと連絡が来た。渡りに船と、仗助は早めの時間に約束をして二人と飲みに行くことにした。誰もいない家にいるよりも、ずっと気持ちを紛らわせるだろう。

     億泰も康一も、もう年内の仕事は終わっており家でくつろいでいるらしい。暇を持て余しているところだったと聞いて、仗助はほっとした。
    「最近、うちの親父がきれい好きでよぉ。あちこち掃除しまくってんのよ。だいぶ使える部屋も増えてきたぜ」
    「へえ、そうなんだ」
    「毎週トニオさんの料理食ってんのが効いてんのかもな。なんかどんどんシャッキリしてるぜ」
    「やっぱすげーなトニオさん」
     チェーン店の居酒屋は、普段よりもかなり空いている。冬休みは家で過ごす人間が多いようだ。大晦日は終夜営業を予定していると貼り紙がしてあった。初詣帰りの客を見込んでのものだろう。
    「そういや、今日は露伴先生いねーの?」
    「ああ、あいつ実家帰ってて年明けまでいないんだ」
    「そっか。寂しいんじゃねーの」
    「ははは」
     寂しくないとは言えなかった。実際、仗助は寂しさを紛らわすために二人と会っているのだ。しかも、億泰は露伴がそんな仗助のために一緒に暮らしていると思い込んでいる。
    「人のことは言えねえけどさ、お前新しい彼女作んねーの?」
    「一応、気になってる人はいるっつーか」
     同性直前に浮気をされたせいで、あまり恋愛に意識は向いていなかった。しかし、最近の自分の露伴への感情の変化はどこかおかしいと仗助は思っている。
    「おお、どんな奴よ」
    「その……いや、まだそういうのじゃねーんだって。ただ、会えないと寂しくてヤバいっつーか」
    「ええー! なんかすごく嬉しいな! 仗助くんからそういうこと聞くの!」
    「いいじゃねえか!」
     友人たちはずいぶん喜んでいる。よかったよかった、と酒やつまみを追加注文し始めた。
    「あんなことがあったからさ、仗助くんもう恋愛なんて嫌だって思ってそうだなって勝手に感じてたんだ」
    「マジでめでてえな。家に一人でいられねえとか、相当だったしよぉ」
    「だよね。露伴先生が一緒に住んでくれて、実は僕も結構安心してたんだ。寂しいとは無縁になれそうだし」
    「ははは、違いねえ!」
     まさに、その露伴が着になっている相手なのだがそこについては黙っておく。二人が盛り上がるのを見て、自分は友人に恵まれているなと仗助は実感した。
    「でもよ、別になんか好きって感じでもねーんだよ。ただ顔が見たくなるつーか、会いたくなるだけみたいな」
    「好きだろ」
    「好きでしょ」
    「お、おう……」
     二人に同時に反論され、返す言葉を失う。仗助が誤魔化すように酒を口に運ぶと、億泰と康一が畳みかけてきた。
    「ただ顔が見たくなるなんて、好きな人以外にあるかなあ……?」
    「ねーよ。俺、アイドルのみーちゃん毎日顔見てえなーって思うぜ」
    「億泰くん、それってみーちゃんのことどう思ってるからかな」
    「そりゃあ、好きだからよ!」
    「……お前ら、面白がってるだろ」
     しかし、改めて他人から指摘されると「好き」という感情はあっという間に胸に馴染んだ。恐ろしいことだが、全て納得がいく。露伴に会えなくて寂しいのも、笑顔を見るとやたらと胸に来るのも。
    「どんな人なの?」
    「え、いや、そーいうのはちょっと」
    「勿体ぶらないで教えろよ!」
     二人は期待の籠もった視線を送って来る。キラキラとしたその瞳に抗えず、仗助は慎重に言葉を選んだ。
    「なんか、自分の世界みたいのがあって、結構わがままかもしんねえ。んで、俺割と振り回されるのが好きっぽいから……まあ、あれこれ言うこと聞きたいつーか」
    「確かにおめえ、俺にしたらなんでそんなって奴選んでたもんなぁ」
    「は? おい、そんなこと思ってたのかよ!」
    「ごめんね仗助くん。実は別れた彼女さん、僕もいまいち好きになれなかったっていうか……」
    「おい、もっと言えって!」
    「いや、人の彼女の悪口なんて言えねえだろ普通よ」
    「ねえ」
    「いやいや、次は絶対言えよ!?」
     といっても、現在仗助が気になっている相手は二人もよく知る人物である。一体この気になる人が露伴だと知ったらどんな反応をするのだろうか。ただ、さすがにいきなり伝えるのは難しかった。
    「なんにせよ、頑張れよ。そしたら露伴先生も喜んで部屋空けてくれると思うぜ!」
    「はは……」
     仗助にすれば、むしろ居座って欲しいところである。そうやって、お互いの近況を報告しあい、年末に行われていた格闘技の試合の話などをして閉店まで三人で楽しく飲み食いをしたのである。

     友人たちと別れて帰宅した仗助は、ほろ酔いのままリビングへ向かった。どさっと体をソファへ投げ出し、ぼんやりと先ほどの話を反芻する。
    「……好き、なのか?」
     好きか嫌いかと言われたら、少し迷って好きだと答えられる。嫌いではない。自分は嫌いな相手に好かれたいとは思わないからだ。仗助は露伴に好感は持っていた。それは、出会ってすぐに友情を期待した時からである。確固とした価値観を持ち、筋の通っているところは良いなと思っているし、正直顔も好みのタイプだ。一緒にAVを借りに行った時に選んだあのソフトは「露伴に少し似てるかも」と気になったからである。あの後、もしこれを露伴がやってくれたらと想像しながら改めて見たところ、最初に見た時よりも興奮した。
    「うーん……好きだな」
     数え上げてみれば、どう考えても好きだった。ついさっき帰宅した時に露伴がいないのかと寂しくなったのも、相手が露伴だから余計に感じたのだと思う。好きだから会いたいし、好きだから男同士であんなこともしてしまったのだ。
    「俺は好きだけどさあ……」
     ここからが問題だった。仗助は露伴が好きだ。もうここは曲げられない事実である。心も体も露伴が良いと言っている。腹は決まった。だが、露伴はどうなのか。
     岸辺露伴の価値観は、仗助には到底理解できない。恋愛感情なんて持っていない同性相手でも、いやらしいことくらい出来てしまいそうなのだ。恐らく、あれはあの場のノリと勢いで行われたものである。仗助もそのつもりだったし、露伴も同じ気持ちだろう。突き詰めてみると仗助の方は根底に恋愛感情があったのだが、あちらもそうだと考えるほど楽観的ではない。
    「ぜってえ、面白そうだからってヤったよなあいつ」
     そういう人間なのだ、露伴は。抜きあうくらい普通にする。初めてだと言っていたが、それは機会がなかっただけに過ぎない。露伴に「エロいことがしたい」と持ち掛けた初めての相手が、自分だったというだけである。
    「うううう……」
     露伴がいないと寂しい。指折り数えて帰宅の日を待つくらい会いたい。しかし、帰ってくるとまた別のことで悩んでしまう。圧倒的な片思いである。
    「後、なんか好きって言うとなあ」
     恋愛感情を持ってしまったことで、露伴に住居を提供していることに下心が加わってしまう。どんな裏があろうと露伴は平然と享受するだろうが仗助は何となく嫌だった。
    「どーしよ、あー……」
     あっという間に酔いは冷めていく。ソファの上で頭を抱え、仗助はそのままうんうんと唸り続けた。

     年が明けても仗助の悩みは続いていた。こんなに恋愛で悩んだことはない。好きだと言われて付き合って、相手のことも好きになっていく。そんな恋愛ばかりしていた。露伴に同じことが通用するだろうか。こんなことを毎日悶々と考え続けている。
    「ただいま」
     もはやマンネリ化しつつある正月番組を眺めていると、廊下から声が聞こえた。パッと顔を扉の方へ向けるとちょうど露伴が入ってくるところだった。
    「うわ、お前その顔どうしたんだよ」
    「顔……?」
    「とんでもなく顔色が悪い」
     手に持った紙袋を床に置き、露伴が近づいてくる。ソファに座る仗助の額に手をあてて、熱を測った。帰ってきたばかりの露伴の手はひんやりと冷たく気持ちがいい。
    「熱はないみたいだな」
    「なんか、最近うまく寝れなくてそのせいかも」
    「は? お前が寝れない?」
    「なんか、すげえ心外な反応してきますね」
    「いつもぐーぐー能天気に寝てるだろ。どうしたんだよ」
     露伴はいつもの調子で尋ねてくる。失礼でデリカシーのないところもいつも通りで、露伴が帰ってきたのだと実感した。
    「あー」
    「あー?」
    「露伴先生が帰ってきた……」
    「お前、まさか一人だと寝られないとか言うんじゃないだろうな?」
    「当たらずとも遠からずっていうか」
     寂しいのもそうだが、それよりもこれからの自分たちのことを考えて悩んでいるのだ。だが、それを露伴に正直に話していいのものだろうか。
    「あのな、休みに休まないでどうする。さっさと自分の部屋にいって布団かぶれよ」
    「やだ、せっかくあんたが帰ってきたのに」
    「面倒くさい彼女みたいなことを言うんじゃない。ほら立て、邪魔だ」
     露伴は本当に邪魔だと思っているのかもしれない。帰ってきて辛気臭い顔の仗助がいるのが我慢ならないのかもしれない。しかし、仗助は心配してくれているように感じた。
    「やっぱ、俺あんたのこと好きかも」
    「は?」
     ぽろりと核心に触れる言葉が飛び出てしまった。やはり寝ていないのは良くない。露伴も言う通り睡眠は大事である。だが時すでに遅し。仗助は冷たい汗が背中を伝い落ちるのを感じたが、露伴がどっかりと隣に腰を下ろす方が先だった。
    「おい、好きかもってなんだ」
    「そのまんまっスけど……」
    「ハッキリしないな、かもってなんだ。かもって。こっちだってそんなんじゃ反応に困るよ」
     眉間に深い皺を刻み、露伴が詰め寄って来る。近い。ドキドキする。葛藤の末に辿りついた恋心を、こんな形で言っていいものだろうか。色々と思うところはあるが、仗助は寝ていなかった。
    「好きです、あんたのことが。すげー好き」
    「へええええええええええ!」
     一転して、露伴はニヤニヤと笑っている。これはろくでもない展開がこのあとあるに違いない。寝不足のぼけた頭でもそれくらいはわかった。
    「そうか、エロいことして意識してしまったわけだな仗助くんは」
    「いや、多分もっと前から気になってたんスけど」
    「ま、男なんだ。下半身が伴ったらそうなるのもわかるよ。へえ」
     舐め回すような視線に晒され居心地が悪い。露伴はニヤニヤ笑ったままである。
    「ぼくは別に君のこと好きじゃないよ。抜きあったくらいで何か変わるもんでもない」
    「そーでしょーよ、あんたは」
    「だが面白い」
     やはり岸辺露伴の反応は予想がつかない。仗助はとにかく聞くしかなかった。
    「ぼくに惚れてる男と一つ屋根の下で暮らすっていうのは、またとない経験だ。もしかしたら、いたいけなぼくが襲われたりするかもしれない」
    「誰がいたいけなんだよ。つーか襲わねーし!」
    「エロ漫画ならそういう展開もあるって話だ。もしかしたら、あのAVみたいにぼくからお前に誘いをかけることもあるかもしれないぞ」
     それは何度も想像した展開である。寝ている仗助のところへ露伴がやってきて、そのまま……と考えている間も露伴の話は続いた。
    「お前がぼくを好きなら、ここから出ていけと言われることもなさそうだし、このままお世話になることにするよ」
    「あんたなあ……!」
     ふてぶてしく笑う顔が、最高にかわいい。完全に、岸辺露伴にハマってしまっている。どれだけ酷いことを言われても、それが全て裏目になって愛情に変わってしまいそうだった。
    「だめだ、マジであんたのこと好きかも」
    「だから、かもじゃ駄目だって言っただろ」
     また眉間に皺を寄せた露伴だが、すぐにふわりと笑顔に変わる。もしかしたら、思っているよりも早い段階で関係は変えられるのかもしれない。
    「好きなんで! いつか絶対落とすから!」
    「楽しみにしているよ。金が貯まるまではここにいるつもりだから」
     そして立ち上がった露伴はぐるりと部屋を見回した。
    「このリビング、広くて気に入ってるんだ」
     一人で暮らすには広い家。不要だと思われていた部屋。それらがあったから、今露伴はここにいる。住むことなく離れていった恋人にも今となっては感謝したいくらいだった。
    「ま、ぼくはもっと広い家に引っ越すつもりだけど」
     それまでに、絶対手に入れてみせる。仗助はそう決意した。

     いつかいなくなるこの男が、広い家に一人でいるのを寂しいと思うように。
     自分を隣に置いていたくなるように。
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