Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Iz_Mas_x

    @Iz_Mas_x

    @Iz_Mas_x

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍶 🍷 🍺 🐰
    POIPOI 12

    Iz_Mas_x

    ☆quiet follow

    纏まった時間が取れないため、魏嬰ちゃん番外篇となります。
    今回は江澄視点でお送りいたします。
    もう少し掘り下げたかったのですが、時間切れで残念無念。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #MDZS
    #忘羨
    WangXian
    #女体化
    feminization
    #江澄
    lakeshore

    献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 番外篇 江晩吟の憂鬱 大梵山で十三年振りに魏無羨に会った。奪舎してまで蘇り何をする積もりなのだと、怒りに駆られて紫電で打ち付けたが何も起こらなかった。奪舎ではないということは、まさか献舎なのだろうか。誰が何の目的で魏無羨を蘇らせたというのだ。
     目の前の魏無羨は、江晩吟が知っていた前世の彼よりも五寸(約十五センチメートル)程背が低く、身体付きも随分と華奢になっている。彼が蓮花塢に連れて来られた頃を彷彿させる痩せぎす振りだ。纏っている襤褸ボロも、何処の世家のものか判別が付かない程酷いものだ。
     恐らく虐待された怨みを晴らすべく、無上邪尊、あるいは魔道祖師と悪名高い魏無羨を献舎の相手に選んだのだろう。選りに選って何故、と江晩吟は忌々しげに舌打ちをした。誰よりも慈悲深い男だ、困っている者を助けない筈がない。
     道化を気取っている魏無羨は勿論だが、当然のように魏無羨を庇う含光君に対して苛立ちが募る。
     雲深不知処での座学の最中はあんなにも魏無羨を疎んじていた癖に、血の不夜天では魏無羨の逃走を助け、彼が死んだ後も夷陵老祖の噂が立てば必ずその場に現れた。理由など知りたくもないが、藍忘機は魏無羨に執着していることだけは嫌でも理解出来た。
     自分とは違う理由で執着しているのは確かだ。玻璃のような冷たい瞳に魏無羨だけを映し、何の色も乗らない鉄面皮に彼への並々ならぬ恋慕の色が滲んでいる。姑蘇藍氏の二の若様が断袖とは、雅正が聞いて呆れる。
     だが、藍忘機の想いなどどうでも良い。魏無羨は何としてでも蓮花塢に連れ帰る。そして、祠堂で跪かせて父母に詫びさせ、その後は金鱗台の祠堂でも跪かせて姉と義兄にも詫びさせなくてはならないのだから。
     それなのに、この場から逃げ出そうとわざと煽ってきた魏無羨の売り言葉に、つい買い言葉を返してしまい、まんまと藍忘機に塩を送る結果となってしまった。

     ◇

     次に魏無羨に会ったのは、それから十余日後の清河の街中だった。功を焦り単身飛び出した甥の金如蘭の後を追い、その最中さなかに偶然出会でくわしたのは江晩吟にとっては幸運と言えよう。但し、魏無羨の出で立ちには度胆を抜かれたのだが。
     何と、魏無羨は女の姿をしていた。しかも、姑蘇藍氏の校服を纏って。無性に腹が立ち、怒りに任せて近くの茶屋に引きずり込むと甥の霊犬をけしかけた。魏無羨に思い出させる為だ。お前が頼れるのは俺だけだろう。
     それが己の慢心であったと、直ぐに思い知らされた。魏無羨が助けを求めたのは藍忘機だった。藍忘機の執着を十三年間も目の当たりにしてきた江晩吟の頭に浮かんだのは、魏無羨はもう藍忘機に手を出されたのかという下世話なものだった。
     自分でもどうかと思った。だが、姑蘇藍氏の真っ白な校服は魏無羨の為に誂えたのだろう、凹凸の激しい身体の線にぴったりと沿っている。大梵山では色艶の悪かった肌も髪も艶やかに整えられており、簪を始めとする装飾品も随分と意匠を凝らした高価な物ばかりだ。藍忘機の寵愛振りが窺えて吐き気がする。
     魏無羨が前世の夷陵老祖のままであれば、長老や藍啓仁を始めとする藍氏重鎮どもも反対するだろう。だが、今の女の姿の魏無羨であればどうだ。あの金光善の庶子だけあって華のある容姿だが、喪服のような姑蘇藍氏の校服に身を包んだ姿は楚々としており、黙って動かず大人しくしてさえいれば二の若君の妻に相応しく見える。
     何よりも、魏無羨は鬼道など使わずとも、新たな法具を作り出す発想力と強力な符術があるのだ。そして、豊富な実戦知識と冷静沈着な判断力も持ち合わせており、藍氏でなくとも喉から手が出る程欲しい人材だ。
     しかも、女の身であれば子を生すことも出来る。魏無羨に献舎した莫玄羽は修為が低く金丹もないらしいが、魏無羨ならば直ぐに結丹する筈だ。藍忘機との子であれば、優れた跡継ぎを期待できるだろう。
     そこまで考えて、江晩吟はハッと嫌悪の息を吐く。随分と俗物的な思考だと、嫌悪感を覚えたからだ。人を人とも思わぬ、外道の考えだ。全く以て気に喰わないが、藍忘機は魏無羨に執着している。愛して、いるのだろう。
     魏無羨にとっては良いこと尽くしの筈だ。過去を捨て、今度こそ人並みの幸せを手に入れる好機なのだ。憎んで怨んできたが、魏無羨だけが元凶ではなかったことを、江晩吟も解っていた。彼は雲夢江氏の為に死んだのだ。
     蓮花塢が温氏襲撃に遭った時、母も父すらも魏無羨にこう命じたのだ。息子を守れと。ずっと、魏無羨とは本当の兄弟のように育てられたと思っていた。母も彼の実力を認めた上で、実の息子の不出来を嘆いていたと思っていた。父は彼こそが江氏を継ぐに相応しいと認めているのだと思っていた。
     だが、雲夢江氏に危機が迫ったあの時、父も母も魏無羨に家僕として次期宗主を守れと命じたのだ。江晩吟にとっては天地がひっくり返る程の衝撃であったにも関わらず、魏無羨はそれを当然と受け入れていた。
     実の兄弟のように思ってきたのは自分だけで、両親も魏無羨もそうは思っていなかったのだと思い知らされた。そして、江晩吟にとっては呪詛とも思えるその命令を、魏無羨は実に忠実に守ったのだ。
     奪われた金丹を復元し、射日の征戦で憎き仇の温狗どもをそれぞれ残虐非道の限りを尽くして殲滅した。ただ、魏無羨は江晩吟との約束だけは何一つ守らなかった。自ら言い出した雲夢双傑の誓いも、死ぬなら俺の目の前で死ねという江晩吟の我が儘も、聞いてはくれなかったのだ。
     そして、献舎により復活してからは、何故か藍忘機と行動を共にしている。何故、直ぐに蓮花塢に戻って来なかった。何故、俺を頼らない。何故、何故、何故。そんな疑問ばかりが胸中を去来する。
     兄弟ではなく家僕だから、もう務めは果たしたと思っているのだろうか。そんなに藍忘機の傍は居心地が良いのだろうか。咄嗟に助けを求めるくらいだ。今の魏無羨にとっては、藍忘機こそが──。
     それでも、認めたくなかった。咄嗟に口を衝いて出たのは、酷い中傷だった。もしかしたら、藍忘機は莫玄羽と何かあったのかも知れないと。江晩吟の知る魏無羨であれば、すぐさま言い返してくる筈だった。だが、彼は言い返さなかった。
     ただ、ぽつりと洩らしたのだ。「確かに、藍湛が好いているのは莫玄羽だ」と。そんな顔で嘆く程、藍忘機が好きなのかと驚いた。江晩吟が知る魏無羨は、誰にでも気があるように振る舞うが誰とも本気にならない、そういう男だった筈だ。
     あんなにも執着を見せていた癖に何故魏無羨にこんな顔をさせるのだと、この場に居ない藍忘機にどうしようもなく腹が立った。やはり、このまま蓮花塢へ連れて帰ろう。
     蓮花塢に戻って両親の霊前に跪くように言い放ち、床にうずくまっている魏無羨を引き摺り起こした。彼は一度は自分の足で立ち上がったものの、足に力が入らないようで直ぐにつんのめった。
     突然のことでつい抱き留めた江晩吟は、前世の魏無羨とは似ても似つかぬそのか細い身体の柔さにゾッとした。こんなにも弱々しい女の身体で、一体何が出来るというのだ。守ってやらなくてはと、無意識に抱き留めた腕に力が籠もった。
     其処へ甥の金如蘭が扉の前で騒ぎ立てるものだから、江晩吟は魏無羨に伝え損ねてしまったのだ。蓮花塢に戻って来いと。家族としてやり直そうと。

     《終》
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works