我慢のできたいい子には「水篠さん、今日はもう帰るんですか?」
賢太がドアノブに手を掛けた旬に向かって尋ねた。いつもの帰宅時間よりも3時間も早かったからだ。
「……ああ、今日は特別な日でね」
「そうだったんですか!お疲れ様でした、いい日になりますように!」
「ありがとう。じゃ、お疲れ」
そういって我進ギルドの事務所を出ると、ふぅ…と熱い吐息を溢して別名義で借りているマンションの方へと足を向けた。
「おかえり、旬」
「ただいま」
玄関を開けると昔の姿の自分が待ってくれていた。
数カ月前、突然旬の前に現れてからずっとここで匿っていた存在だった。
「シュン…俺…、…ちゃんと我慢した…っ」
部屋に入るとすぐに旬が昔の自分、シュンを後ろからかき抱いた。
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