12本の赤い薔薇ぎしりときしむベッドから起き上がって、隣を見た時に実感する。
―――――ああ、私はこの人と結婚したんだって。
4歳も年下の元軍人、とても優しい人で私には勿体ないくらい。
最初はからかわれてるのかな~とか遊びかもとか色々考えたけど
あの日、顔を林檎みたいに真っ赤にして告白してくれた叶くんを見てそんな気持ちは吹き飛んでしまった。
感動で静かに涙を流すのは昔からの癖みたいなものなんだろう、私が返事を返した時も泣いていたのを覚えてる。
すやすやと眠る彼の頬にそっと口づけを落としてベッドを抜け出す、叶くんはいつ私がそうしていることに気付くかしら。
「あ…ちょっとしおれてきちゃったな」
いつも通りの広場で待ち合わせをするのが恒例になって、その日だって元々一緒に出掛ける約束をしていて、変わらずにショッピングをして食事を共にして夜になったら分かれて。そんな一日になると思ってた。
854