愛が故のイデアみかが斎宮邸にきてから、一ヶ月がたった。今日はみかの仕事はないがシュウは幼稚園に行っているので寂しい。
寂しさを埋めるために、初日に渡された取り扱い説明書を眺めていた。
「んぁっ!んああ〜〜。シュウさんの誕生日って10月30日なんや〜〜」
お師さんと同じ誕生日なんて、あの子に教えてあげればきっと喜ぶだろう。
あ、自分の尊敬する叔父の誕生日くらい知ってるか。
「あかん、スケッチブックはどこやっけ」
これまでシュウから霊感を得たデザインを書きためていたのだ。
「せや、服だけやのうて…」
みかは携帯を取り出した。
「間に合わなくって残念やったね」
シュウの母親と父親はどうしても外せない仕事ができてしまい、シュウの誕生日には間に合わなかった。
14209