くれぐれも吸い過ぎないように、一回トんじまったらもう宇宙までいっちいまうからよお。何がおかしいのかそれともすでに宇宙までいっちまってるのか電子の板が様々な表情を作る下でケタケタと笑う前歯の無い男の話を朝の冷たい空気が這う安いモーテルの一室でVはぼんやり思い出していた。「お前さん、いったいどうしたんだ?」
さすがに心配になったのだろう、昨夜は一晩中どこかへ電話をかけ続けていた男が声をかける。その顔には深い疲労の色があった。
「なんでもない」
Vは無感動な声で答えた。
「そうか……ならいいんだけどよう……」
男は安堵のため息をついた。そしてそのまま椅子に座っているVを見下ろしている。Vはその視線から逃れるように目を伏せた。
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