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    waka_TOV

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    自分に自信が持てないチャと背中を押してあげるコノの話(ノイ+チャ)

    「君と彼はそんなに浅い付き合いでも、信頼していない仲でもないのだろう?少しばかり本心を曝け出しても、いや、預けてみるのもいいんじゃないかな」
    「預ける、ですか…?」

    コノエの言葉にチャンドラが不安げな表情で小さく首を傾げる。
    いつもの気配りができる明るい青年の姿とは正反対の、まるで迷子の子供のようなチャンドラの表情にコノエは胸を痛めながら、それを表情に出さないように優しく言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

    「そう。例え話にはなるが、もしノイマンくんからなにか重要な相談をされたらチャンドラくんはどうする?」
    「…なにか俺に出来ることがあったらしてやりたい、ですね」
    「では、もしそのチャンドラくんの善意を跳ね除けられたら?」
    「…それがノイマンの選択したことなら大人しく手を引きます、かね。善意は独り善がりの現れですし」

    そう言いながらコノエから視線を逸らしたチャンドラの両の手がぐっと握り締められた。
    ただの例え話だと言ったのに、言葉では手を引くと言っていても、何も出来ないもどかしさと、頼られなかった寂しいという感情が無意識な行動に現れてしまっているチャンドラにコノエは静かに手を伸ばす。
    握り締められた拳に触れたコノエの熱にチャンドラがピクリと身体を震わせるが「大丈夫、なにもしないよ」と声をかけると静かにチャンドラの肩から力が抜けて。
    コノエはそのままゆるりと優しい力でチャンドラの拳を持ち上げると、己の手のひらの上に載せた。
    そして指先に込められている力を解すように指の一本一本を丁寧に開いてやると、チャンドラの手のひらには握り締めた爪跡がはっきりと残っていて。
    コノエはチャンドラの手のひらを自分の手で優しく包み込みながら言葉を続ける。

    「ノイマンくんから頼られなかった君が今思っていることはなんだろうか」
    「…なんでしょうね」
    「寂しい、悲しい、虚しい、何故、自分の力量不足。きっと負の感情か疑問符のどれかだろう。友人に、一等仲のいい相手から頼られないというのは中々に来るものがあるからね」
    「……なにが言いたいんですか?」
    「今のノイマンくんもチャンドラくんと同じ気持ちを抱いているということだよ」
    「…!」

    微かにチャンドラの目が広げられた。
    周りをよく見ている普段の彼なら言われなくても気付くであろうことなのに、自分のことになると途端に疎くなってしまう不器用なチャンドラにコノエは大丈夫だと言い聞かせるようにチャンドラの手を包む指先に力を込める。
    コノエが触れる指先から分け与えられる柔らかな熱と想いに、チャンドラの奥底にある誰にも見せたことのない雁字搦めのものが綻びそうになって、チャンドラは堪らず唇を噛む。
    未だ素直になれない、いや、素直になる方法が分からないチャンドラにコノエはもう少しだけ背中を押す。
    きっと彼は、もうすぐここに来るであろうけど。

    「人間誰しも他人には見せない自分しか知らない己の姿がある。それはもちろん僕にもあるし、きっとチャンドラくんにもあるだろう。僕はそれを無理に他人にひけらかせと言っているのでは無い。ただほんの少し、互いに気を許した相手に見せてもバチは当たらないと、そう言いたいだけなんだ」
    「…でも俺、そういうの苦手で」
    「うん」
    「……誰も俺に興味なんてないだろうし、ノイマンだって、わざわざこんな面倒臭い俺に気をかける必要も無いのに」
    「ノイマンくんに気をかけられるのは嫌だった?」
    「………嫌、ではなかったです」
    「じゃあ、嬉しかった?困惑した?」
    「……………わかりません」

    「……でも、」

    コノエに握られたままのチャンドラの指先に少しばかり力が込められた。
    ぴくぴくと小さく戸惑い探るような指先の動きに、コノエは敢えてなにもせず、ただひたすらにチャンドラのさせたいようにさせる。
    少しずつ心の蟠りと葛藤しながらも一歩を踏み出そうとするチャンドラを見守るのが今の自分のやるべき事だ。

    「…………でも、悪い気はしなくて、」
    「うん」
    「…………ノイマンがこんな俺でも許してくれるなら、これからもずっと、二人で一緒に馬鹿やって行ける仲だったらいいな、とは思います」

    そういったチャンドラの指先には力が込められて、ぎゅ、とコノエの手が握り返された。
    簡単に振り解けるほど弱い力であっても、それは紛れもなくチャンドラの決意の表れで。

    -ああ、やっと彼の本心が聞けた。

    コノエが優しく口角を上げた瞬間、二人だけの空間に飛び入る人影があった。

    「そんなこと! 言われなくても続けるに決まってるだろ!!」
    「の、ノイマン…?!」

    -きっと彼らは、もう大丈夫だろう。

    再び自分の心の殻に閉じ込もろうとするチャンドラに少しでも大丈夫だと伝わればいいとコノエはチャンドラの手を握り返すとそっと手放した。
    今この手を取るべきなのは、彼なのだから


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