白いドレスを着て「…うん。やっぱり俺の見立ては正しかった」
青天の霹靂。
突然背後から届いた声に驚いて振り返る。遅れを取るなど、調理中でなければと後に猛省した。
「‥‥‥‥何しに来た変質者」
「やあ久し振り。息災かい?」
僕が驚いたことに満足したのだろう。窓枠から覗かせていた顔を破顔させ、猿の様な身軽さを見せた君はひょいと室内へ降り立った。若草のマントがふわとはためく。
「‥玄関入るところからやり直しなよ。ここ何階だと思ってるの?」
「つれないなぁ。そういうところ相変わらずだね」
マントを脱ぎ脇に抱え、スタスタ歩を進めてきたかと思うと勢いそのまま抱きすくめられた。
「ちょっと!危ないっ」
包丁を持った手をなるべく遠ざける。
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