それじゃバイバイ(二人だけのさよなら) 学校でさようならをするのが好きだった。その瞬間のために学校に行っているような気すらしていた。その瞬間が来てやっと、俺は自由になったから。子どもたち、同級生たちは帰りにどこで遊んで行くか笑いながら思案しているが、俺は秘密の道をどうやって帰るか、珍しくホロじゃない植物が生えている道をみんなにバレずにどうやって訪ねるか、家に帰ってダイムとどうやって遊ぶか、そんなことばかり考えていた。俺は潜在犯の息子で、何かあったらいじめられていたけれど、楽しい放課後にかまって来る奴なんていなかった。それくらいその時間はみんなにとって大切だったんだろう。俺にだって大切だったさ、授業の復習をしたら、ようやく一人の時間が出来るから。
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