約束「レイヴン~、ねぇねぇねぇ、これ見て!」
はしゃいだ声をあげながらレポートを書いている俺の視界に入り込んでくるよく見知った薄氷色の頭。
そちらへちら、と視線だけ向ければノエルの藤色の目が嬉しそうに弧を描き、早く話を聞いてくれと言わんばかりに訴えかけてくる。
こちとら明日〆切のレポートの仕上げ中だってのに困ったもんだ。
「はいはい、今度はなんだってんだぃ」
背中に温かく、重たいノエルを引っ付かせたままレポートをキリの良いところまで書き上げ、画面から顔を上げると
待ってました!といわんばかりにノエルが離れる。
そしておもむろに手に握らされたのはシンプルな意匠が施されたペンダント。
ゴールドとシルバーのそれはしずく型で一方はオニキス、もう一方にはアクアマリンがはまっている。
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