閉じた瞼の向こうから朝日を感じぼんやりと意識が浮上する。目を開けると珍しく、まだ眠っている期間限定の同居人の姿が見えた。
昨夜遅くまで携帯片手に興奮してたから明け方に眠りでもしたんだろうか、いつもはとっくに起きているのに今日はまだ無防備にうなじを晒して眠ったままだ。
「なおきくん」
そっと声をかけてみるも反応がない。ショートスリーパーの彼がこんなにぐっすりなのは珍しい。滅多に見られない姿に思わず口角が上がる。
いたずらしたい、
心が思うと同時に体はもう動いていた。
綺麗に刈り揃えられた生え際を親指でなぞって、うなじに唇を寄せる。ちゅ、と遠慮がちにキスを落としてみるがなおきくんが起きだす気配はない。今度は大げさに、あとが残るように肌を吸い上げる。
起きてこの赤に気づいたらなおきくんはなんて言うだろう。
規則正しく波打つ背中が愛おしくもありさみしくもある。いつもなら嫌そうに、それでいて気持ちよさそうな悔しそうな顔で見上げてくるのに。
あぁ、早く起きていつもみたいにやめろってかわいい顔で怒ってくんないかな。
おわり