お題:「歯磨き」「黙って」6/12 まだ半分寝ぼけたまま歯をみがいているルークのとなりに、やはりまだ目が完全には開ききっていないアーロンが歯ブラシを咥えて欠伸をしながらやってきた。せまい鏡のなかには歯磨きをしているルークとアーロンの、ひどく眠そうな顔がならんで映っている。
「……おはよ、アーロン」
「おう」
眠たそうではあるが歯ブラシの持ち方は正確で、アーロンの歯のみがき方は相変わらず完璧だ。それを見てルークは歯ブラシを持ち直して、背筋を伸ばした。
「アーロン、大丈夫か?」
「……何がだよ」
「夜、けっこう無理させちゃったな、と思って……どこか痛いところとかないか」
そう、言い終わらないうちにアーロンの頭突きがルークのこめかみにヒットした。
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