こい、うらない「そんなにすき? おじさんのこと」
やみそうにない雪を、それでも今冬最後だろうからと眺めに出た散歩道、コーヒーを買いに行ったサンウクを四阿のベンチに座って見つめていたら、背後から射るように問いかけられた。
振り返るとその声の主はタバコを咥えていたから、応じる代わりに咎めようとし、彼女が最近成人したことを思い出す。それでも健康に良くないとお節介にすり替えるか迷い、共に暮らす男のそれに思い至り、ずいぶん返答が遅れたことで沈黙は肯定、と断じられた。
「そんなに、と言うのは」
隣に浅く腰掛けた彼女に、無駄な抵抗を試みる。
「なんでもいいけどさ、せっつない感じ。まぁそれ、恋っぽいけど」
彼女たちの年頃のそれと同列に語られる自分に笑ってしまう。
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