nipple ディルックはシャツの釦を外すと、ため息をついた。“塵も積もれば山となる”なんて言い回しを、自分の身体で実感することになろうとは、考えてもみなかったのだ。
白く、豊かな筋肉と、柔らかさのある顔立ちに似合わない、大小の傷跡──その中に、冷え込んだ日には特に主張するベージュのとっかかり。明らかに、以前より乳首が大きくなっていた。
『nipple』
ぎろり、と音が聞こえるくらい厳しい視線が突き刺さっても、ガイアはご機嫌だった。なにせ、今夜は自分の要求がとおる確信があったので。
「なあ旦那様、頼むよ。譲り合いって大事だろ?人助けだと思って」
そう、譲り合いは大切だ。ガイアは、とある趣向をセックスに取り入れたいと言い出したディルックの望みをつい先日叶えてやった。そうであるから、今回は自分の番だと、そう言いたいのだ。
2998