海水浴(仮)(そよいととアポリアメンバーたち)「ナイス」
照り付ける太陽の下。うだるような暑さを束の間忘れて、弥代に手のひらを向けた。
「ありがとうございます」
日差しを受けて僅かに頬を赤らめた弥代もまた、俺よりも一回り小さな手のひらを合わせて、小気味よい音を立てる。
この回で審判役の神家はにこにこと得点ボードを捲った。ネットの向こう側では、やられたとばかりに悔しがる篠信と、励ますように背中を叩く樋宮が見える。
夏らしい遊びをしよう! あまりに唐突な芦佳さんの鶴の一声により、あれよあれよという間にやってきた海辺。この日休みだった寮メンバー(麻波は不在・揺はカフェ出勤・静さんはげんなりした表情で部屋に籠城した)と、予定が空いていた篠信や吏来さん、そして弥代。それなりの大所帯にもかかわらず流れるように、あるいは何かに導かれるようにものの数時間で辿り着いてしまった。本当にフットワークの軽い連中ばかりだ。
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