白い子と黒い子妻と22歳の時に創業した喫茶店「ラ・ポーズ La Pause」フランス語で"憩いの場"という意味らしい。妻が好きだったフランス映画のワンシーンから拝借したその店名を私は結構気に入っている。
その店も今年で創業43年、当時最先端だった深い赤のベルベットソファも今ではすっかり"レトロ"の仲間入りだ。店主と同じようにガタもくるが、丁寧に磨いてきた刳物の調度品はいっそういい味が出てきた。人間も磨けば光る、古希のお祝いにと孫がくれた深い紫のタイを撫でながら自分もまだまだ、と意気込んだ。
平日の昼間は見知った顔ばかりのこの店に、つい最近、随分と若い常連さんが加わった。数駅先にある大学の学生さんだろうか。若い子に好んでもらえそうなメニューなんてまるで無い古い店だから、まさか常連さんになってくれるとは思わなかった。
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