扉はぼんやり、されどかたくなで ふと、気がつくと彼のことを考えていると思ったが、それ以上は認めたくない。僕は小さくかぶりを振った。短い休憩時間がもったいない。
もうおっさんであろう今まで、少々奥手なだけのごく平凡な異性愛者だと思っていた。
ところが最近、偶然からひと回りも下の男子大学生と、知り合い懐かれるまでは良かったが、たまにとても積極的なこともあり、嬉しいよりもむしろ、怖くもある。実はからかわれてるのではと。
真に受けてはいけない、いつものように内心でそう言い聞かせて僕は思考を打ち切り、お茶を飲み干し、席を立った。昼時の学内食堂なので、直ぐに若者で埋まってしまう。
そう、年長者がのさばってはいけないのだ。