かえる。「結婚してくれ」もう何度言われただろう。とっくに数えるのはやめにした。同性だから無意味、同棲しているんだからそれで十分、若いお前さんの将来を奪いたくない、まあそれはお互い様だが。等々、その度にかわしたり言い聞かせたりを繰り返してきたものの、どうにもへこたれてくれず、折を見ては盛り返してくる。だが最近は慣れてしまったのか、うんざりするよりむしろ、熱が引いてしまう方を恐れるようになってしまった。ここらが潮時なのか。夢見るような年頃でなくなって久しいが、それでも共にありたいと願ってしまうのは許されることなのか。身体だけが家路を急いでいる。心はここに無い。もう少しだ、待たせてすまないね、愛しい人。