カーゴパンツとチノパン ようやく初めて「そういう意味で」我が家で夜を共にした翌日、揃って買い物に向かう彼には俺の服を貸してやった。体格差がほとんど無いのでサイズは気にしなくて良かったが、十も年が上なのでどうにも無理して若作りしている様な違和感はぬぐえない。
一旦足を止め、改めて数歩離れて全身を眺めてみると、途端に奴が首をかしげて振り向く。似合ってないと馬鹿にしてくるんじゃないかとか、昨夜のソレはただの出来心で正気に戻ったのではと不安に駆られているのか。そんなことはない。むしろこのおっさんが見せた様々な表情を思い出して大いに満たされている。
俺はすぐさま距離を詰めて言った。
「やっぱ似合ってねーな」
「うるせえ」