Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ドライアイス

    @4gHO9Yp2t0otaLm

    ⚠癖の強い作品が多いです
    ⚠2同軸リバの民」です
    ⚠3閲覧は自己責任です

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 42

    ドライアイス

    ☆quiet follow

    バースデーネタ。十年後。背景捏造。付き合ってないブロマンスです。

    ##イデ→←アズ

    『糸を縒る』 2032年モストロラウンジ珊瑚の海店、海上テラス。新しく作られたこの店舗は、海底から海中、海上までの3階建てになっていて。数時間前まではグランドフロアもとい海底と海中はおもに人魚が。海上は専用の船で訪れた人間や獣人、妖精などで賑わっていた。
    「誕生日おめでと」
    「今年もお会いできて嬉しいです」
    「……誕生日くらいは、ね」
    学生時代よりも大人びた後輩は、質の柔らかそうなシルバーブロンドをオールバックに撫でつけ、三つ揃えのスーツを着こなしていたが、微笑んだ表情には昔の面影が残っていて、イデアは表情を綻ばせた。
    「さみしい誕生日ですな。今日くらいは仕事休めばいいのに」
    「お生憎様、独り身ですから」
    「祝ってくれるひとは、いっぱいいるでしょ」
    「だからこそゆっくりしたいのですよ」
    「ふーん」
    イデアは傍らに置いた紙袋をちらりと見る。ナイトレイブンカレッジを卒業してもアズールの誕生日だけはモストロラウンジに立ち寄り、こうして1つずつ歳を重ねた後輩とゲームをするというのが、アズールが卒業式の日にイデアにねだったわがままだった。
    奇特な人魚だ。1年寝かせたおねがいごとを、そんなことに使うだなんて。
    部活で誕生日杯をアズールが申し出てから、誕生日杯で彼が勝ったらお願いをひとつ無償できく。という提案をされたときには身構えたものだったが、意外と可愛らしいところがあったらしい。
    「イデアさん、今回僕が勝ったら、とびきりのわがままを要求してもいいですか?」
    「君の言うわがままって、こわいな」
    「ふふふ」
    顔を顰めたイデアに、アズールは楽しそうにカラカラと笑った。
    「あなたにしかできないお願いですから」
    意味深長に囁かれた台詞に、イデアが瞬きを繰り返した。
    「これからさき、あなたが誰と一緒になっても、いくつになっても、またこうして遊んでくださいね」
    今はまだ逃げ回っているものの、イデアはもうじき周囲の圧に折れてしまうだろうと言外に指摘したアズールに、イデアは唇をわななかせ、どうにか返事を絞り出した。
    「うん。……当然だよ、君は最高の好敵手プレイヤーだから」
    「ありがとうございます」
    「じゃ、その景品は無効ですな」
    「は?」
    「いや、だって僕も毎年この日が楽しみで、いや、あー……今のナシ。とにかく、それは確定事項だから、景品は別のにしてよ」
    「あなたって」
    なにかを言いかけ、アズールが首を振る。
    「わかりましたよ、じゃあ……」
    その後、アズールが伝えた要求にイデアは不敵に笑い、こう言った。
    「君が勝てたらね」

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    Cornet_twst

    MAIKING仏゛部のふたりが仲良くなるまでの話②
    気まぐれに続きます
    陸に上がって初めてできた先輩は、何かと人の正気を疑ってくる失礼な男だった。
    陸の礼儀に則って完璧な挨拶をしてみせたというのに、衣服を深く被って視線を逸らす。その隙間から覗く黄金色の細い瞳と、青く揺れる髪が印象的だった。
    ああ、陸にはこんなものもあるのかと。
    共に海からやってきた双子も同じ色の瞳を持っているが、彼の黄金はどこか陰がさしていて、ただ輝くだけではなかった。どちらかと言えばその反対で、薄暗く見えるのに時折、ひらりと光を反射して瞬く。ほとんどが暗闇に包まれた海の底とは違って、地上は光に溢れていた。沈みゆく茜色の太陽に照らされて、その黄金色と、淡く揺れる青がきらきらと。
    彼の髪が「炎」というものだと知ったのは、後になってからだった。

    「シュラウド先輩。おはようございます」
    「……おはよう。きみ今日もいるの」
    「先輩だって来てるじゃないですか」

    入部した日から三日、アズールは放課後になるとボードゲーム部の部室へと足を運んでいた。
    散々こけにされたチェスの腕を磨きたかったのもあるし、彼の言う「他のゲーム」にも関心があった。部室には海の中で学んだものとは桁違いの数のゲームがあって、そ 2184