深い深いよるの御伽話 きらきら。
きらきらのおほしさま。
いつも見ている窓からの景色とは違う眺めが、そこにはありました。
雲ひとつない黒い空には、丸くてきれいなお月さまとたくさんの星たち。それだけでも綺麗なのに星たちは時々きらりと細い線を描いては消えていく。
あっという間の出来事にびっくりして、またそれがあまりにも綺麗で、ぼくは長い間ずっとその様子を見ていました。夜のお外はまっくろで少し寒いけど、ともだちと一緒だから全然怖くない。
よる。みんな誰もが寝てしまった深い夜。外からこんこんと小さな音が聞こえてくる。その音がきこえるとぼくはすぐに走る。ベッドから部屋の端までいってぼくよりも大きなカーテンを一気にあけると、外から月明かりが差し込む。
――この時はいつもどきどきするんだ。
そこには、ぼくがほしいものがある。でも、窓をあけるまでは分からない。
気のせいかもしれない。なにかの聞き間違いだったらどうしよう。そう思うと、胸がざわざわする。
だから、いつものように窓からこちらをのぞいてくるともだちの顔を見ると、うれしくなるんだ。
でも、慌てちゃいけない。
きまりがあるから。それはちゃんとやらないとだめだ。
「……お邪魔しても?」
「うん、どうぞ」
ぼくはしっかり頷くと、早く早くと待ちきれない気持ちを隠しながら窓を開ける。ていねいにともだちを部屋に招き入れて、こんばんはと挨拶をする。そうすると、するりと猫みたいに部屋に入ってきたともだちも同じようにあいさつを返してくれた。返事が返ってきたのがうれしくて自然と笑顔になったぼくに対して、ともだちはなぜかそれ以上にとても上機嫌そうな顔でぼくを見てきた。そのままじっとみつめられてしまい、どうしたんだろうと不思議に思うぼくに、今日は特別な日なんだぞと教えてくれた。
「ユージオ、今日は流星群が来るらしいぞ」
りゅうせいぐん?
突然そう言われて、よく分からないまま言葉を聞きかえすぼくの顔を見て、ぼくのともだち――キリトはとても楽しそうに笑った。
***
キリト、ぼくのたいせつなおともだち。
こうしているはふたりだけの秘密。
おかあさんにもおとうさんにも、学校の友だちにも、ないしょ。
キリトは夜にしか遊びにきてくれないけど、ぼくがさびしい日にはいつも遊びにきてくれる。そして、にっこり笑って、ぼくのもやもやを晴らしてくれるんだ。
まるでお日さまみたいで、お月さまみたいだ。
はずかしいから口にはしないけど、ぼく自慢のともだちだ。
***