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    同学生IF、全員ドミニコスIF、転生ショタヴィムIFパロが同一時空で繋がっていた場合、デリヴィムが転生ショタヴィムIFパロでやっと成立することになるので、その瞬間のメモだよ。
    あと正味うちのデリヴィム時空のデリングがどういった思考回路で行動しているのかのメモでもあるよ。
    デリングがクソ男過ぎてとんでもないゾイ☆

    #デリヴィム

    IFパロ時空のデリヴィムが成立した瞬間メモガッ

    反射的にデリングの頬を殴る。
    忌々しいことに本気で殴ったにも関わらず、子供の手ではデリングに大したダメージは与えられんようだった。
    反動で身体が無重力空間でふわりと浮かぶが、視線だけは目の前の男から離さなかった。

    「デリング……もういっぺん言ってみろ……!」
    「私はお前をジェタークの呪縛から解放したかった」
    「何を勝手な! そんなこと誰が頼んだ!!」
    「そうだ。お前は決してそれを望みはしない。だからこれは全て、私の独断だ」

    こちらを真摯に見つめるデリングの瞳に、一瞬言葉を失う。

    「昔言ったな? 『俺の人生は全てジェタークのものだ』と。私はそれを認めたくはなかった。お前をジェタークから引き剥がしたかった」
    「は……?」
    「だがお前は戦争屋の息子だ。戦争が続く限り、その血に刻まれた罪から逃れることはできない。そしてただ会社を潰すだけではCEOであるお前に全ての責がのし掛かる。……それにお前は、易々と潰されるような男ではないだろう?」
    「当然だ」
    「…………だからこそ」
    「……まさか、クワイエット・ゼロ!?」
    「そうだ。パーメットをオーバーライドし、全ての武器を無力化、支配することで争い合う双方から戦う手段を奪う計画。……戦争が無くなれば、それで成り立つ会社は否応なしに潰れるだろう。もちろんお前の落ち度ではなく責任は全て私が負う形で、だ。それに業績トップのお前になら、これまでの実績を元に便宜を図る、という建前も作ることができた。……ジェタークではないお前を、手に入れたかった」

    …………開いた口が塞がらないとはまさにこのことだ。
    何を手に入れるって? 俺を?
    クワイエット・ゼロはその為の手段だったと…?
    初めて知るデリングの真意に情報量が多すぎて頭がパンクしそうだった。

    「な……何を言っている……? お前、ノートレットはどうした……? 娘まで設けておいて、なぜ……」
    「お前に男児が生まれたと知った時……思い付いた。もし私に娘がいれば。そしてもしお前の息子と番わせることができれば。お前と合法的に籍を共にすることができると」
    「そっ……なっ……! だから俺の元バディであるノートレットと結婚したというのか!?」
    「そうだ。出会いは偶然だがお前の話で盛り上がり、知り合った。そしてとあるインキュベーションパーティーの時、お前に息子が生まれたと知った私は遺伝子学者である彼女に協力を持ちかけ──」

    奴の胸倉を両手で掴み上げる。

    「その話、子供たちの前で二度と口にするなよ」
    「当たり前だ。……誤算だったのは、思っていた以上に私は自身の娘を愛してしまったことか」
    「……何を当たり前のことを。……ま、待て! じゃあ、あの婚約者制度は!?」
    「もちろん、ミオリネを私を敵視する者たちから守り、隣に立つ婿を見つけるというのが最大の理由ではあるが……」

    胸倉を掴まれたままのデリングがじっとこちらを見つめる。

    「……そういう意図を含んでいなかったと言えば嘘になる」

    ──絶句。
    まさに、そういう言葉がふさわしい。

    「な、なぜそれを直接俺に言わんのだ!! そんな回りくどいことをせずとも、総裁権限で無理矢理にでも俺と契ればそれで済んだだろうが!」
    「お前は私のことが嫌いなのだろう?」
    「──ぐ」

    常日頃吹聴していることではあるが、本人から面と向かって言われればさすがに少し怯む。

    「気持ちが伴わない繋がりは私の本意ではない。何よりそれではお前の心はジェタークに捕らわれたままというのは過去既に経験済みだ」
    「こっ、この……!」

    瞬間脳裏に昔こいつと行ったアレコレが蘇り、それらを散らすように慌てて頭を振った。

    「私の生きている内に、お前の身も心も、完全にジェタークから切り離したかった。……だがその前にお前は死んだ。あんなに死とは無縁だったお前が、まさか私よりも先に死ぬとはな……運命とはわからんものだ」

    少しだけ、デリングが目を細めて微笑んだ。

    「私のやってきたことは全て無に帰した。……だが一軍人として、父親として、娘と私が行ったことの責任は最後まで取る。それだけは私が行うべき最低限のケジメだ」
    「……わからん、どうして俺にそこまで執着する? その歳になるまで……人生を棒に振ったに等しいんだぞ?」
    「…………わからんか?」
    「あぁ、わからん。全くもって意味不明だ」
    「……そうか。私はお前を好いているからだ。ヴィム」
    「え」
    「学生の頃より、変わらず」
    「……………………は?」

    胸倉を掴む両手が緩む。
    今、俺は何を言われた?
    理解ができない。
    脳の処理容量を超えている。

    「昔から、お前は自身に寄り添うことを誰にも許さなかった。ならば私一人くらい、お前を気にかける者がいてもいいだろう?」
    「ちょっ………と、待ってくれ。お前が、俺を……? それも学生の頃から……!? 嘘だろう!?」
    「嘘ではない」
    「そんな……じゃあ、あの時も、その時も、全部……!?」
    「それらが何を指しているのかは知らんが、お前と出会ってから、私がお前を気にかけなかったことは一度たりとて無い」
    「なっ……そんっ……うぐ……ふざけるなぁ…………」

    頭の中はぐちゃぐちゃで。
    今こいつの前で俺はどんな顔をしていいのかわからず、咄嗟に胎児の態勢で顔を隠す。

    「約束通り、これが私の腹に含んだ本心であり全てだ。……私を嫌うお前に、このような話をするのは本意ではなかった。もう二度と顔も見たくないと言うのであれば、私はそれに従おう」

    ふと顔を上げればデリングの遠ざかる背中が見える。
    わからない。
    俺は何もわからない、が。
    身体は勝手に動いていた。

    「ま、待て!!」

    咄嗟に追いかけ、デリングの肩を掴む。
    振り返ったデリングは、少し目を見開いていた。
    呼び止めたはいいものの、それから何をしたらいいかわからない。
    俺は何をしたい?
    頭が真っ白になる。

    「そっ……おっ、俺は……別に……そこまでお前のことが嫌いだったってわけじゃ……」
    「……私を暗殺しようと企んでいただろう?」
    「あれは! お前が婚約者制度なんて決めるから!! それにお前を殺すのは俺だからだ!!」

    デリングがぽかんとした顔をしている。
    珍しいその表情にどこか己の溜飲が下がるのを感じる。
    ……そうだ、そうとも。
    俺は支配されるのではなく支配する側の人間。
    つまり、目の前の特大の供物を捧げた奉仕者に対して、俺がするべきことは──

    「……『ヴィム・ジェターク』はプラント・クエタで死んだ。つまり今、お前の目の前にいる俺は、ただの『ヴィム』だ」

    真正面からデリングの頭を抱え込む。

    「それで満足しやがれ!」
    「…………それこそが──」

    デリングは今まで見たこともないような顔をして、俺の小さな身体を抱きしめた。

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