かわいいふたり(レン春+翔)「ハニー、ほら、あーん」
スプーンには差し出す主が先程美味と絶賛したばかりのビターめなティラミスがたっぷりとのっている。
「ふふ、一口にしては多くないですか?」
そう言っても、差し出された側は嬉しそうにあーんという声に従って口を開いた。
「ハニーにもオレが美味しいと感じたものを沢山味わって欲しいんだ」
用を果たしたスプーンがそっと唇から離れていく。
「わぁ、本当に美味しいです…」
ね、と顔を見合わせると幸せそうに笑い合った。その世界には二人きりしかいない、とでも言いたげな甘ったるい、有体に言えばいちゃいちゃとした空気で満たされている。
それをテーブルを挟み向かい側でげんなりと見ていた翔は小さく――それでも隠そうとせず、溜息を吐いた。
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