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    まみや

    @mamiyahinemosu

    好きなように書いた短めの話を載せてます。
    現在は主にDQ6(ハッ主)、たまにLAL。

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    まみや

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    DQ6、ハッ主前提。ED数年後、元じいやと喋る主。孫視点。ハッサンは出てこない。

    ##6(ハッ主)

    大事なこと「じいや、オ…いや、ボク、好きな人がいるんだけどさ」
    「ほほう、王子様ももう年頃ですなあ。じいめは嬉しゅうございますぞ」
     王子様が世界を救う長い旅を終え、レイドックに帰ってこられてもう数年が経つ。昔、王子様のお世話をしていたことが何より自慢のおじいちゃんの元へ、王子様はたまにお話をしに顔を出してくださる。
     たまたま私がおじいちゃんの家に来ていた時に王子様がやってきて、そんなお話をし始めたので、私はびっくりした。
     強くて、精悍で、格好良くて、レイドックだけでなく、世界をも救った勇者である、レック王子様。レイドックで王子様に憧れない年頃の娘はおらず、ご結婚はいつなのか、もしされるならお相手は誰なのか、それは常に国中の皆の関心ごとだ。いつ王に即位されるのか、も併せて。
    「どうしてこのじいめに教えてくださったのです」
    「……昔から、ボクのこと知ってるだろう、じいやは」
     ボクは旅をしてるうちに昔のことを忘れちゃって、その人と本当に相性がいいのかどうか、ちょっと自信がなくて、昔のボクを知ってる人に聞いてみたかったんだ。
     そう言う王子様に、おじいちゃんは笑った。
    「ほっほっほ、王子様も物忘れですかな」
    「そう、……ごめんな、じいやのことも忘れちゃって」
    「いえいえ、人間は忘れる生き物ですじゃ。して、お相手はどんな」
    「うーんと、……ピンクの髪で、おっぱいが大きくて、逞しい」
    「ほう、それはなかなか……見所がありますな。王族の責務は常に重く厳しいものです、体が丈夫であることに越したことはありませぬ」
    「ちょっと強引な所もあるけど、いつでも優しくて、ボクのしたいことを励まして、支えてくれて」
    「お優しい王子様にぴったりのお方ですな」
    「……でも、大事な仕事があるから、もし結婚しても、忙しいかも」
    「シェーラ王妃様も、王妃様の仕事を懸命にされて、お忙しくしておられましたよ。王子様と王女様にはお寂しかったでしょうが……しかし、このじいめは、小さかった王子様のお世話を存分にできて、大変嬉しゅうございました。今ではこんなにご立派になられて、誇りに思っておりますじゃ」
    「それに、身分も、他の色んなことも、王族の伴侶には相応しくないかもしれない」
    「レック王子様」
     おじいちゃんは優しく、王子様の名前を呼ぶと、王子様の頭を撫でた。王子様は俯かせていた顔を上げて、おじいちゃんの顔を見る。
    「王子様は昔から、賢い、いい子で、……大事なことは、きちんとわかっておられましたよ。大丈夫、このじいめはいつでも王子様の味方ですからな」
    「………好きなんだ、そいつのこと。他の人じゃダメなんだ、オレ。もっと相応しい相手がいるだろうって、皆に、思われるかもしれないけど、でも」
    「そうです、それが、……王子様のその気持ちが一番大事なことですじゃ。大丈夫です、王様も王妃様も、皆も、何よりも王子様の幸せを一番に願っておられます。王子様、そのお気持ち、お相手にちゃんと伝えて、その方を生涯大事になさいませ。王子様が見初められた相手なら、きっと素晴らしい、素敵な方でしょうな」
     おじいちゃんにそう言われて、王子様はとうとう泣き出した。
     強くて、精悍で、格好良くて、レイドックだけでなく、世界をも救った勇者である、レック王子様は。
     意外と泣き虫で、かわいらしい方なのかもしれない。
     でもそんなことは、おじいちゃんとおばあちゃんと、私と、その、王子様の想い人だけが知っていればいいことよね。
     そう思って、私はおばあちゃんにこっそり目配せをして、音を立てないように、そうっとおじいちゃんの家を出た。
     王子様はいつか、その、お好きな方と、ご結婚をされるのかもしれないし、されないのかもしれないけれど。どうであっても、どうかお幸せになってほしい、と私は思い、そして。
     ピンクの髪でおっぱいが大きくて逞しい人、どこかで見たことがある気がしなくもないんだけど、どこでだったかしら、とひとつ首を捻ったのだった。
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