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MOURNING

没ったやつそのニ。ほんとはあの部屋から出た後にここに繋げるつもりだった。前半部分は支部にあるやつに再利用させてもらったのでないけどちゅっちゅしてるだけ

あの良くわからない部屋から出られてもう一ヶ月。
オレとビートはあの部屋で初めてキスをして、その気持ち良さに気づいてしまった。
お互い恋人なんていない。キスができる相手などお互いしかいなかったので、キスをしたくなったら相手を呼びつけるか相手がいる場所に直接向かい、キスをする関係にいつの間にかなっていた。
それはただ唇を合わせるだけの行為だったが、憶えたてのオレたちにとって病みつきになるほどに気持ちがよく、いけないことをしているのだと言う背徳感が堪らなかった。

何度かのキスを終えて、ビートの顔を覗き見る。どうやらまだ足りなかったみたいで、首に腕を回されて強引に顔を引き寄せられて口付けられた。

「ん、んんっ…」

何度も角度を変えて唇を合わせて、ようやくそれを終える。

「はあ…」
「満足したか？」
「満足していなかったのはあなたもでしょう？」

からかうようにそう笑われたのが図星だったので、もう一度キスをして誤魔化した。

「んっ…はあ…。ほんと、好きですね」
「お前もだろ」
「そうですけど…。あなた、こういった悪いこと好きじゃないかと思っていたので」

いけないことをしているのはわかっている。恋人でもない相手と気持ち良くなる目的でキスをするだなんて不健全だ。

「…なあビート」
「なんです？」
「俺たちのこれって、悪いことなんだよな」
「まあ、世間一般の基準から考えるに良くないことだとは思いますよ」
「それじゃあ、この行為を良いことにした方がお互い後ろめたさも無くなって良いんじゃないのか？」

何を言っているのかさっぱりわからないと言いたげな顔をしているビートにわかりやすく説明をすることにした。

「オレたちは恋人同士じゃないからキスしたらダメなんだろ」
「そうですね」
「じゃあ付き合ったら正当なものになるんじゃないのか？」
「………キス目的で付き合うなんて、今の関係以上に不健全なんじゃありませんか？」
「今の関係の方が不健全だろ。決めた！　オレお前と付き合うまでお前とキスするのやめる！」
「はぁ？」

元気良く笑ってそう言うと、ビートはますます意味がわらないというように顔を顰める。

「あなたと付き合って、ぼくに何のメリットがあるんですか」
「オレとキスができる！」
「今までだってしてたじゃないですか」
「でもオレはもうやめるんだぞ。無理やりキスしてきたらそれはれっきとした強制わいせつ罪だ！」
「あなた、本当に突拍子もないことを言いますね…。そもそもあなた、ぼくのこと好きでも何でもなくて、ただキスができるていのいい相手としか思っていないでしょう？」
「そんなことないぞ？　オレ、お前の顔好きだし」
「顔かよ」
「今までに何度か考えてみたんだ。キスするならビートじゃなくてもいいんじゃないかって。でも嫌だなって思ったんだ。ビートとのキスは気持ちいいし、ドキドキして、もっとしたい！ってなるんだよ。これって少なくとも嫌いという意味ではないだろ？」

それじゃあダメか？
ビートの顔を覗き込んでそう言ってみる。
キスし足りなくて、もっとしたいときにこの顔で強請るとビートはなんだかんだ言いながらもさせてくれたのでこの顔に弱いことは知っていた。それに、キスをしている時オレと同じくらいドキドキしてくれていることも、知っている。

「…仕方がありませんね。まあ、付き合ってあげます」

なんて言いながら頬を赤く染めているビートが愛おしい。
オレのこと、好きで堪らないくせに。
まあお互い様なので口にするつもりはない。
オレたちの愛情表現はこれで十分だと、もう一度ビートに口付けた。

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