坊メ鯉月 🌙サイド「海がみたい」
突拍子もない彼の言葉に顔をしかめる。
「分かりました。行きましょう」
あなたはいつもそんなことを言う。
鯉登グループの次男坊である音之進様に、お見合いの話が来た。なんと喜ばしいことなのか。屋敷に住む使用人の全員で喜ぶ。でも私は心のどこかではきっと、
私がこの屋敷にやってきたのは音之進様が8歳の頃だった。わがまま放題で息子に困っていると言われ始めて会うと、これは確かに甘やかされて育ったのだろうというほど生意気だった。この人がお前専用のメイドだと紹介された時の音之進様の表情といったら。まぁそもそも男でメイド服を来ている時点で驚いたのだろうが、威圧感を与えないためだなんだと言われてこの服を支給されたのでしょうがない。よろしくお願いしますと声をかけたらすごく小さな声でお願いしもす、と返したのだった。
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