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    かじの

    カップヘッドAUのファンアートとしょうもない落書き置き場

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    かじの

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    死ぬ感覚を覚えている☕の様子

     地面に叩き付けられる衝撃が身体を走った。さっきまで幻想的な星空が眼前に広がっていたはずなのに、今は目を開こうにも開くことが出来ない。意識があちこちに散らばっているのを感じてようやく、自分の身体が粉々に砕けていることを理解した。指の神経をなぞり、トントンと床を叩くと、無機質なブリキの音が響く。潰れた飛行機から漏れ出たであろうエンジンオイルの匂いとともに、なにか鼻をつく匂いが辺りに充満し、むせかえりそうになる。
     どうしてこんなことになったんだっけ……ああ、そうだ。寝ているマグやケトル爺さんに内緒で家を飛び出して、飛行機で雲を突き抜け気持ちよく旋回していたところだった。だけど突然のエンジントラブルのせいで、スクラップ場に突っ込んでしまったのだ。明日はせっかくの休みだから、ちょっとくらい夜更かししてもいいと思っていたのに。外出する前に頭に注いだホットミルクが、その熱を失いながらゴミの山に染みこんでいく。
     これまでに何度も命を散らしたことがあるけれど、死にゆく感覚は未だに慣れない。明日、目が覚めれば、すべて元通りのはず。でも本当に?最後に潰えた記憶は遠く、確信は無い。もし今までのが、神様の悪戯だとしたら?こちらの様子に気づかない、遠くの街に響く人びとの楽しげな声にますます孤独感が増し、息が詰まる。破片をかき集めようにもまず腕も足もないので、ただ呆然とそこに佇むことしかできない。破片の末端から冷えていき、意識が混濁する中、真っ暗闇の中で独り。たすけて、という空虚なつぶやきが空に溶けていく。
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