「飲み過ぎだろ」
「いいじゃん別に、どうせ泊まるし」
「はぁ...」
まぁ確かに飲みすぎたかもしれない。
瓶とか缶とかゴミに出すのは烏丸だし。
多少の申し訳なさはある。でも嫌ならつまみ出せばいいのに
「烏丸なんか面白い話しして」
「あ?ねぇよそんなもん」
「おまえ...友達できたのに遊んでないの?はー...じゃあせんぱいが一個だけ質問答えてあげるから質問して」
『お前に聞きたいことなんかねぇよ』とか言ってくるんだろうな。もうかなり長い間付き合いがあるのに烏丸は俺に興味ないし。今も沈黙が長いし。
烏丸が黙ってる間また美味しいお酒を呑む。おいしい。
「....お前、なんで普段猫被ってんの。今みたいな方が絶対...」
...まさかほんとに質問して来るとは
「そんなん聞かなくてもわかるだろ。その方が生きやすいからに決まってんじゃん」
確かに猫かぶってるかもしれないが、言い方が悪い。猫かぶってるわけじゃなくて理想に答えてるだけ。あーでもそれを猫かぶってるって言うのか
「大人と話す時は自我なんて無い方がいいんだよ、怒られる時だって反論しない方が早く済むし、誘われたら乗る方が喜ばれる。今みたいなのは駄目」
「はぁ...」
「大体、今だって烏丸は俺みて『めんどくせ〜こいつ』って思ってるじゃん。で、烏丸は俺のこと嫌いだし。じゃあ今みたいな態度は外でしない方が好かれるし無難でしょ。」
「……」
「期待されたらそれに応えなきゃ失望されるし、失望されたら周りから人がいなくなる。そうならないために期待に応えないと」
そうした方がいい。義務教育で受けたどの授業よりこれが1番身になった学びだと思う。
自分のことを話すより、人に気持ちよく話をさせる方が求められているし好まれる。
自我なんて邪魔なだけ。だから限られた信用できる人にしか見せない。これも自分を忘れないためにやってるだけだけど。一回この信用した人たちと連絡をたった時は色々危なかったからこれも大切なことだ。
「俺ができることなんて誰でもできるんだからせめて人には変えが効くことを気づかれないようにしなきゃダメなんだよ。」
「めんどくせぇな」
「まぁ烏丸には分かんないからいいや」
「おい」
「俺のこと変人扱いするけど烏丸だって嫌いな人間と何年も一緒にいるし変。大学だって違うとこ行って連絡取らなきゃこうはなってないのに」
胸がチクチクする。うん、もっと飲もう。飲んで忘れなくては