公園
『次いつ会える?』
....送ったはいいけどちょっと照れくさくなってきた。なんか急かしてるみたいにみえないだろうか。圧がある文に見えたり...既読がつく前に送信取り消そうかな....
『カドショ近くの公園来い。早く』
「....?」
「お兄ちゃん、もう暗いのにお出かけするの...?」
「すぐ帰ってくると思うけど...月碧、母さんには内緒にしててくれる?」
「...?うん、内緒にする」
「ありがと」
こんな寒いし、もう暗いのになんで公園...?なんか変な人に絡まれてるとか...怪我して動けないとか...?
「あ、いた...烏丸、そんな薄着でいたら風邪引くよ」
「...あ?なんでこんな時間に...」
「なんでって....それより、これ着て。寒いの苦手なくせによくそんな格好で立ってたな...」
烏丸、バイト帰りとかじゃないのかな。荷物も持ってないし...一旦家には帰ってそう。家でなんかあったとか?色々大変そうだし...理由は聞かないほうがいいかも。でもスマホは持ってこれたってことは想像してるものよりマシかな...
「そこ座ってて、なんかあったかい飲み物買ってくる」
「...いらねぇ」
「俺が寒いから買うの。ついでに烏丸のも買うだけ」
「....」
「はい、これ」
「....」
「こんな寒いとすぐ冷めちゃうかな...」
「...」
喋る気分じゃない...感じ。まぁそうだよね。俺の予想では家飛び出してきてるわけだし、無理に声かけると良くないか。
「烏丸、よあけちゃんとかから連絡来てるんじゃない?スマホ見てみなよ」
「スマホ...?...はぁ....家置いてきた」
「...ふーん」
置いてきたってことは俺にきたLINEはなんだったんだろ。最初烏丸にあった時俺がきたのにびっくりしてた感じだったし...ほんとに来るとは思わなかったとかそんな感じかと思ってたけど違うっぽい。
烏丸のお母さん...は無いだろうな...じゃあよあけちゃん?うーん...
普通に俺に返信してからスマホ置いて家出たとか?ここから烏丸の家の距離的に無理か。まぁいいや。
「......」
「.....これ冷めたら帰ろ。帰りたく無いならうち泊まってもいいし」
「.....」
普通に寒い。まぁ俺が風邪引く分には迷惑かけないしいいんだけど...烏丸が風邪引くとバイトとか迷惑がかかるし...。
.....このお茶もすぐ冷めるだろうな。
「....お前、寒くねぇのかよ。それ冷めてんだろ」
「別に平気。それより飲み物冷めたなら約束通り帰るけど、どうするの」
「.....」
「...他人の俺が言うのもなんだけど、無理に戻ることないと思う。何があったか分からないけど冷静になれるまで距離を取ってもいいんじゃない?...あ、もちろんこんな野外じゃなくて暖房の効いた屋内でね」
「...........帰る」
「家まで送ろうか?」
「...いらねぇ」
「じゃあまっすぐ帰ること。帰ったらちゃんと俺に連絡して、あったかくして寝ること。わかった?」
「.....ん」
「...じゃあ、またね。おやすみ」
「おい。これ」
「着て帰っていいよ。返すのも次あった時でいいから、風邪ひきたくないでしょ」
「........おやすみ」
「うん。おやすみ、烏丸」
幸せな夢が見られますように