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    nekonyanya82

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    nekonyanya82

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    英重。煙管を使う英はんが書きたかった。

    紫煙に惑わす「あらぁ」
    今夜も当然のように英の部屋へやって来た重は、くっと眉を上げて声を上げた。
    「珍し。ボヤ騒ぎでも起こしてはるん?」
    「・・・・・・煩いぞ」
    くつくつと笑いを堪えながら見た先には、重厚な執務机に肘を突き、いらいらと銀糸を掻き回す英の姿があった。その彼の姿が、ほんの少し霞んで見える。
    珍しい事に、執務机の文具達の脇には、煙草盆が出されていて、吸いかけと思しき煙管がそこに乱暴に乗せられていた。そこから漂ったであろう紫煙が英の周りに立ち込め、彼の姿を僅かに霞ませていたのだ。
    「窓開けへんの。煙たくてしゃあないわ」
    「・・・・・・勝手に開けろ・・・あぁ、全く・・・」
    ぎゅう、と眉をよせ顔を顰める英。持っていた万年筆をがちゃん!と珍しく荒々しい仕草で放り出すと、こちらも乱雑に乗せられていた煙管を、代わりに手に取った。忙しない手つきで煙草入れから刻み煙草をつまみ出し、丸めようとするが、気が急いているのかうまくまとまらない。
    ちっ、と舌打ちをする英に、仕方ないなと重は別な刻み煙草を煙草入れから取り出す。
    「そんなに焦らんと、ほら」
    しなやかな指先でくるくるっと丸めると、英が握っている火皿のに詰めた。
    よほど機嫌が悪いのか、詫びのひとこともなく、英は、ふん、と鼻を鳴らすと刻み煙草に火をつけた。ぎりぎりと眉間に皺を寄せたまま、煙管に口をつける。
    こんな夜更けでも制服を纏った胸がすぅ、と動くのを見ながら、重は「荒れてはりますなぁ」とのんびりと言った。そんな重をぎろりと睨みながら、英は吸い口を離す。窄めた薄い唇から、ふうと煙を吐き出す。
    「ははぁ、英はん程の色男やと、たぁだ煙草吸うてるだけでもサマになりますやん」
    色っぽいわぁと笑う重に、英は「揶揄いに来たのなら帰れ」と取り付く島もない。また煙管を咥え、すぅ、と煙を吸い込んだ。
    は、と重が目を見開く。悪巧みをする猫のように口角をつりあげると、英の目線が逸れた瞬間を狙って、その指先に摘まれた煙管をぱっと奪い取った。
    「あっ?!何を、ごほっ!」
    突然の出来事に、英は大きな声を出すがうっかり煙を肺の深くまで吸い込んでしまい、ごほごほと噎せる。背中を丸めて咳き込む英を見下ろしながら、重は悠々と奪い取った煙管に口を付けた。吸い込んだ煙を、ふぅー・・・っと英に吹きかける。
    「おい止めろ・・・っ!」
    「英はん、」
    重は灰皿に煙管をカァンと打ち付けて灰を落とすと、ぐっと英の方に身を乗り出した。呼び掛けられた英は、咳き込んだせいで少しだけ潤んだ目で重を見る。
    英の苦しそうな表情に、胎の底が震える。重は、こっち、と呟いて、己の唇をとんとんと指先でつついて見せた。しなやかな指先が、ふっくらとした赤い下唇を、ぷにぷにと弄ぶ。
    「そない口寂しいんやったら・・・『こっち』にせえへん・・・?」
    そこの柔らかさを知らしめるように、ゆるく唇をすぼめてみせる重。英ははた、と目を丸くしたが、肺に残った最後の煙を吐き出すようにひとつ咳をすると、
    「・・・煙草より、貴様の方がよほどタチが悪いな」と低く呻いた。
    「心外やなぁ。なぁんにも悪いことなんかしぃひんよ」
    「・・・どうだか」
    そういうと英は、身を乗り出してにやにや笑いの重の、肌蹴た胸元に下がる赤い紐をぐっと引くと、悪巧みをする唇にがぶりと噛み付いた。見せつけるようにすぼめられていたそこにべろりと舌を這わせると、重は背筋をぶるりと震わせた。
    下唇を吸い、重がちろりと舌先を出すと、そこに同じように舌先を絡めてやる。器用な先同士をぬるぬると触れ合わせると、ぅん、と鼻に掛かった声を上げた。しおらしい様子に少し気分が良くなったので、尖らせた舌先でちろちろと擽るようにしてやる。ちゅくちゅくと濡れた音を立てるそれに、重はゆるりと身を捩らせた。
    「・・・は、ぁぅ、ぅん・・・っ」
    抑えるつもりもないのか、甘ったれた声がほろほろと漏れる。
    神経に染みて行くような声に、じわりと英の身体も熱を帯びる。今更逃げるつもりなどないよな、というように、紐を握っていない方の腕を重の後ろ首に回して押さえ込んだ。回り込んだ指先で耳裏をくすぐってやると、重はびくっと身体を震わせた。
    他の誰も知り得ぬ弱いそこを擽りながら、ちゅる、ちゅ、と舌やら唇やらを吸い上げる。
    「んぁっ、ゃ、も、そこ触らんで・・・っ」
    口付けの合間に、重が咎めるような声を出すが、そんなものは気に留めない。呼吸すら奪い取るように乱暴に唇をかさねていると、耐えかねたように、かくん、と重が膝を折った。
    へたりと床に座り込んだ重は、乱れた呼吸のまま英を見上げた。てらりと濡れた真っ赤な唇をぺろ、と舐めると
    「・・・にがぁ。どれだけ煙草吸いはったん?」とうっそりと笑った。
    その先を期待するような濡れた眼差しで見上げられ、英は、こく、と喉を鳴らす。床にへたり込んだ重の肩をぐっと押すと、従順に見えるほど簡単に、くたりとその身を絨毯の上に横たえた。しなやかな身体の上に覆いかぶさると、赤く腫れた唇をちゅ、と吸った。
    「・・・・・・煙草の代わりを、してくれるんだったな?」
    潤んだ緑灰色の瞳を覗き込んでそう問いかけると、重は両腕を英の後ろ首に回してぐっと引き寄せた。
    「癖になっても知らんよ?」
    優しく吸うてや、と英の耳に囁くと、重はそのまま目を閉じた。
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