隊長が猫になりました、と聞いたら普通は、現世で言う、マスコットとしての猫が隊長に就任している図を想像することだろう。しかしそれならば、隊長が猫に、ではなく猫が隊長に、と書くべきだ。そう、即ち。
本当に、隊長が、猫に、なってしまったのだ。
「妖術やって。笑うてまうわぁ」
重は白くてふっくらした両方の前脚を掴んで、にやぁと人の悪い笑みを浮かべた。重の膝の上には、ぶすくれた顔の猫が乗っている。
片目に傷のあるその猫は、かなり大柄な猫だった。被毛が長くふわふわしていることや、毛色が白いことも相まって、かなり大きく見える。さらに、見た目通りにずっしりと重い。
重は掴んだ白い前脚をヨイヨイと動かして、猫を盆踊りさせる。猫は迷惑そうだ。
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