しとしと降る雨ではなく、時折大きな音を立てて降る雨は頭痛の種になっている。
あの時から。
あれはいつなんだろうか••••?
スクールをサボって、喫茶店でよそで買ってきたいちご大福を口に放り込んだ悟天は外を見て思う。
目の前にはシュワシュワした黒い飲み物とストローをその時くるりと氷と共に鳴らす。
この氷も、寒かった思いがある••••まさか飛び込むわけないしさ。
時折、夢のような心地よさと悪夢のような記憶が入り混じって、スクールの授業中での居眠りも出来ない、それは同時に、家に帰って寝ることが出来ないのである。
側で心配しているのは同じくサボっているトランクス、目の前で氷を突いている悟天を見ている。
「何?」
「氷小さくなってきたけど、飲まないの?」
「うん。」
口のまわりには粉がたっぷりと、味が薄くなって飲み干す。
うとうとしはじめたのはその時であり、机に寝そべっていく。
「やっと飲んでくれた。」
いつの頃からかのトランクスは気づいていた、不眠の悟天のことを、どうにかしたかった。
不眠薬は悟天がハーフ地球人なため、そこらの薬が効かないらしく、母親のブルマと一緒に薬のことを考えていた。
そのため、内緒でいろんな眠剤を試している、トランクスは今日の眠剤が効くことにホッとしていた。
お代を払い、悟天を背負うように喫茶店を出る。
「珍しいですね、悟飯さん。と言っても、ずっと外でこちらを見てましたよね?」
傘を差しカバンを掛けている片腕のない悟飯がそこにいる。
「悟天、くんに何を?」
「驚くことはないじゃないですか?ストーカーのようにつきまとっているくせに。気づかないの悟天くらいですよね。どいてください、雨に濡れて帰るの嫌なんで。」
その悟飯は一歩下がる
どうして、すぐ引く?悔しくないのかよ!
「悪いけど、今日は、つきまとわないでくれ。」
「わかった。ゆっくり寝れるといいな。大事にしてほしい•••トランクス、ありがとう。」
オレに笑顔を見せるな!
そういう笑顔で、そうやってオレの悟天を••••
トランクスはしばらく歩き路地裏で空に舞い上がり自分の家に向かっていく。
部屋のベランダで降り立ち、室内のベッドに寝かしつけた。
濡れた服を脱がしタオル数枚で特徴ある黒髪を拭く、下着まで脱がすつもりはないが、その白い肌に顔をつけた。
「悟天•••••オレの気持ちは、フュージョンした時にいつだってわかっていたろ?」
自分もまだ濡れているであるが、髪が筆のように悟天の少し白い身体に這っていき滴った。
「こうしたかったんだよ、悟天。ずっと、こうしたかった。」
「ん•••冷たい?と、トランクス!何やって••••あれ、うっ頭が••••。」
「すぐ、薬飲ませるからさ。」
トランクスが離れると、悟天は頭痛の中今の姿に驚き近くの布団に包まる。
「今日は、帰るから。気にしなくていいよ。」
「何言ってるんだよ、帰るって?どこへだよ!最近一緒にこの部屋で住んでたろ。」
「はあ?何言って••••」
自分の声が頭に響く。
この声が
好きなのに
嫌いだ。
悟天は思う。
トランクスは濡れたカバンの中からピルケースを取り出すも全部濡れてしまっていた。
「頭痛薬、取りに行ってくるから。」
母親特製の頭痛薬と言う名の鎮静剤。
睡眠薬もあの感じで強くしないと。
そう思って部屋を出る。
ただ、トランクスが誤算だったのは。
「俺は、悟飯さんのところ戻らない、と。」
頭痛に襲われる、思い出すと何かが邪魔をする。
「兄ちゃんのところ?なんで?いまさら?兄ちゃん、悟飯さん••••。」
一緒の人物なのに、別々にいるような。
そうなんだ•••そうだよね。
「眠い•••」
トランクスが戻ると寝ている姿の悟天がいる。
「悟天。」
「一時的なものね、この眠剤で様子見ていきましょ、トランクス。」
「そうするよ。」
「あんたも早く着替えちゃいなさいね。」
何も心配することもない、今まで通りあの男がいない世界がオレたちにとって平和なんだから。
薬が効いてくれて良かった。
悟天を見ながら、ホッとした表情をしていた。