とある日常でその日は、どんより空気
ぼくは、兄ちゃんに部屋に呼ばれた。
「悟天、兄ちゃん結婚するから」
「え?」
いよいよこの日が来たんだと思った。
やっと兄ちゃんは、正常な恋愛が出来るようになったんだって。
この世界、何でもありだけど、それでも。
「ひとつ言っておかないと。」
「なに?」
いつにもまして、真剣だ。
「服を脱いで、これに着替えるんだ。悟天。」
「え?」
「制服だ。学生服。」
「なんで?ぼく、まだ・・・・」
「今回は、中学生の設定で、それにあたって、色々面倒で、悟天には・・・・・寂しい思いを、僕は、ご・・・・いや、とにかく、兄ちゃんは、結婚して家を出るから。悟天はしっかりと中学生をする。」
「飲み込んだ言葉、なに?」
「悟天、僕は悟天を手放したくはないんだあああ。」
本音が気の力と共に出て、部屋がめちゃめちゃだ。
「今回は、中学生の恋愛事情?誰がやるんですかこの設定!」
「カンペ見ながら、突っ込まないで・・・・って、ぼく、いつのまにちょっと成長してる。背が伸びた。お父さんみたいになったかなあ?」
「すぐ切ろうね。悟天、絶対にお父さんと歩かないように。間違えられて、ベジータさんに拉致されるよ。」
「一緒に歩くくらいなら、大丈夫かなあ?兄ちゃん・・・・どうしたの?」
入学式は突然で、今日この日をぼくたちは迎えることになる。
ぼくの同級生になる子は、色んな・・・・人がいたんだけど。
半分以上はぼくの知り合いで、都にいくときに集まるメンバーにプラスされていた。
でも、嬉しいのは、マーロンちゃんと同級生で、おまけのトランクスくんも、同じクラスだってこと。
クラスは1ー1で、一組しかない?と思っていたけど、1ー5が別にあるみたいだった。
そこも不思議だけど。
教室にいくと、マーロンちゃんとトランクスくんが先に来ていた。
「ご、てーーーん。こっちだよ。」
「悟天くん。」
二人が座るところに案内してくれた。
窓際の一番後ろに、ぼくの名前がシールで貼ってあった。
「早いね。二人とも。」
二人はにこりとしている。
「オレは飛べるだろ?マーロンちゃんと一緒に来たんだぜ!」
「送ってもらっただけだよ。」
「トランクスくん、ずるいんだから。」
ぼくは、空を飛べないです!
といいたかったけど、
「マーロンちゃん近くだからいいとしても、悟天。学校から遠いだろ?どう通うんだ?」
「悟天くん、お母さんにお願いしようか?」
「!」
18号さんに頼んだら、なにされてなに言われるかわからない。
どうしてぼくは飛び方を習わなかったんだろう・・・・後悔しても、遅いけど。
「トランクス!」
と、声が聞こえた。
「あ、マイちゃん!おはよう。」
トランクスくんはウインクして声の方、マイちゃん方に行ってしまった。
「悟天くん?もしかして寂しいの?」
「え?どうして?」
「いつも、トランクスくんと一緒だったから、寂しいのかと思って。」
「そんなことないよ。ぼくは、マーロンちゃんがいるから。」
「ありがとう、本当はお兄ちゃんなのに、優しくしてくれて。」
「ん、うん。」
だって、マーロンちゃんところ、好きだもん。
そう言えたらどれだけいいか。
入学式の前には教室に生徒が集まっている。
知らない子ばかり、だけど、見たことあるような気がする子もいるような。
先生が入ってきて。
ぼくは驚いてしまった。
「ウソ・・・・お父さん?」
「悟天くん、あの人写真に載ってた、悟空さん?」
お父さんが、ぐっとと、みんなを見渡す。
「オレがカカロットだと思ったろうが、違う。あんなのといっしょにするな。」
カカロット・・・・って、お父さんの本名。
「ターレスだ。ターレス様って呼べ。」
「ふざけるな!ターレス!」
前の方でツンツン頭の子が立ち上がる。
どこかで聞いたことあるんだけど。
「これは、王子。学生なんて嫌な役だなあ。」
「なんだと貴様!」
「え!パパ!!」
トランクスくんもビックリに反応、
ぼくだってすごく驚いてるんだから。
ということは、大人は小さくなってるってこと?
「あまりふざけた態度をとると・・・・」
「先生だからな、オレは。入学早々の揉め事で、親子共々退学にするからな。」
「く!」
ベジータさん、なにか制約でもあるのかなあ?あっさりと座っちゃった。
トランクスくんも座ってる。
「まあ、色々あったが、出席とるぞ!」
ここからが、ちょっとわからないようでわかるような、人たちがクラスメイトで・・・・ぼくは、マーロンちゃんとトランクスくんと一緒でよかったと思ったんだ。
ターレス先生が担任で、副担任が今はいなくて
ベジータさん、トランクスくん、マーロンちゃん、ぼく、は、いいとして。
髪の長いラディッツくん、体が大きいブロリーくん、背の高いナッパくん、
って言っちゃったけど。
きっと大人の人で、サイヤ人かなあ?
マーロンちゃんとマイちゃん以外、戦闘系ってこと?
女の子、カリフラちゃんとケールちゃんも・・・・
「ねえ、悟天くん?お友だちになれそうだね。」
「う、ん。」
マーロンを守らなきゃな。
って、ぼくは、決心した。
そして、
「遅くなりました。」
って言って入ってきたのは、兄ちゃんだった。
「孫悟飯って言います。よろしくお願いします。」
知ってます。
たぶん、他の人は兄ちゃんを知らないなんてないと思います。
「副担任が悟飯さんでよかったね。悟天くん。」
「うん」
顔がひきつってしまったかなあ。
大丈夫だよね。
ぼく、たぶん大丈夫だと思うんだ。
ぼくは、マーロンちゃんを守れるだろうか?
入学式、
事情により、このまま教室で行われた。
頭の中に声が入り込んできて、
「入学にあたり、注意事項があるよ」
かわいい声?子供かなあ?
マーロンちゃんと、顔を合わせて笑ってしまった。
「かわいいのかな?」
「うん、そうだね。」
よし、会話成立。
この注意事項は、ぼくたちようではなく、
「喧嘩を買うなとはどう言うことだ!戦いがあっての・・・・」
等々、
きっと理解してくれると思うんだけど、サイヤ人って、戦闘民族で、直ぐに戦いになちゃうんだ。
特に先頭に座る、ベジータさん。
今では優しくなったっていってたけど、すごく怖い人だったって言うし。
「ごほん!制約があるのですよ、ベジータさん。そこは、守ってくださいね。」
「くぅ・・・・」
「はあーい、校長先生から続きがありますよ。」
って、今の人じゃないんですか?
「うん、守ってね。それと、これは勉強の戦いだから、いい成績を出さないと、退学になるからね。」
「な、何だと!」
ベジータさんの声が大きい。
「うんうん。あとはお願いね。」
「はい、ベジータさん成績は、あれですが他校やクラス同士で喧嘩にでもなったら即、退場ですよ。」
退場?
「退場?って、なにかなあ?」
「わかんない。」
マーロンちゃんの言葉に、首をかしげるのみ
「あと、このクラスには、ハンデが少しつくんですよ。戦闘民族ばかりですから。体育の授業にボーナスがあります。5教科は平均の半分までですから、頑張ってくださいね。」
平均の半分。
「ん?」
「悟天くん、わかる?」
「えっと。」
半分・・・・
兄ちゃんと分けたケーキが半分?いつも多いような気がする?
「それでは、また。」
話がわからないのは、ぼくだけじゃないようで、
「補足を悟飯がしてくれる。しっかりと説明をきくように。」
「はい。では早速。」
黒板にチョークでかかれるのは、大きなまる。
それに線が入る。
数字
これとこれでこうだってなっていく。
「うん、わかった!」
「え?」
「時々、ケーキを分けるんだけど、お父さんが教えてくれるの。」
「ケーキので、いいならわかる!兄ちゃんが分けてくれるから。」
小さい声で話をしていると、まわりも説明でわかってきたようで。
納得していた。
ケーキか、思ったより簡単だった。
「質問がないようなので。」
「悟飯さーん。」
「はい、トランクスさん。」
「勉強は5教科の平均値に体育の成績が合わさって、どのくらいが目標なんですか?」
「80以上が理想です。」
「おい、悟飯。打ち合わせとだいぶ違うだろ?」
「そのくらいでないと、間違いなく退場です。」
退場。
マーロンちゃんと退場ならいいか。
「しかたねぇ。これから、小テストを行う。すぐ終わるから。」
兄ちゃんは配り始めたけど。
視線があっても、すぐそらされてしまう。
先生だからかな。
配らて来たプリント。
それを見て、ぼくは恐怖を覚えた。
それは、
授業終わりに行う小テストで、
残念な結果に訪れるもので、
毎回あるこの授業がとてつもなく、
苦痛の日々で、
ぼくは、得意な科目もなく、勉強についていくのも大変で、
今日も頭を抱えながら黒板に向かわなければならなかった。
目の前には、兄ちゃん。
違うところの兄ちゃんらしくて、ぼくのところを知らなかった。
そんな兄ちゃんは、勉強が好きらしいのと、ぼくが弟だとわかるとやたらと勉強をさせたがる。
よっぽど、どこかでは勉強ができなかったのかと思うくらいで。
「はあ・・・」
この授業が始まってから、ため息が止まらなかった。
「どうしました?」
そう、敬語。
兄弟なんだからやめてほしいんだけど、と思うだけにして。
「公式がわかりません。」
「ここはこうで・・・・」というくらいに、教えてもらっているも、ちんぷんかんぷん。
もっと、簡単にしてほしいくらいだった。
キンコンカンコン。
と、授業の終わりの鐘がなる。
「今日は、ここまでにして。」
「終わった・・・・お腹すいちゃった。」
つい本音が出る。
兄ちゃんは黒板を消す。
ぼくは、ためらった。
本当に、お兄ちゃんなのかなあ?って。
「終わったら、食事でもしますか?」
「え?えーーーと。ぼくは、独り暮らしだけど夕飯はトランクスくん家で。」
「そうですか。」
何回目かの居残り授業で、はじめて言われた。
「兄ちゃんは・・・、悟飯さんは、今、独り暮らしでしたっけ?」
「そうですが。」
他人行儀がまだ慣れない。
「家では作らないんですか?」
「作りますよ。」
「じゃあ、兄ちゃんのごはんが食べたいな。」
「・・・・・・」
しまった。
兄ちゃんって言っちゃった。
「あ、えーーーと。その、悟飯さん。」
「今日は、やめにして。休日前にはどうですか?家で。」
「それならいいです。(トランクスくんにも、断れるし、夜中までゲームできないけど。)」
ずっと後ろ向いたまま。
黒板を拭き終えたけど、ぼくを見ることはない。
怒ってるんだろうなあ。
鞄に詰め終えて、兄ちゃんのそばにいく。
「あの?」
「では、さようなら。」
こっちを向かないで、帰ることになった。
え?
ぼくは、よっぽど怒らせてしまったの?
今日の勉強より、帰ってから兄ちゃんのことだけで頭いっぱいになりそうだった。