何度でも君に食べられたい 最初は、道端に生えたシロツメクサだった。君は蜂で、俺なんて君が求める蜜を持っている沢山のシロツメクサの中の1つに過ぎなかった。勿論他の蜂も俺の蜜を求めてくれたけど、俺は君が来てくれるのが1番嬉しかった。
次はどこかの庭先にある南天の木だったかな。君はヒヨドリで、冬になるとやってきては俺を食べ尽くしていたね。君に沢山食べて欲しくて、毎年頑張って赤い実をつけてたんだよ。君が来るタイミングを見計らって実らせていたから、俺の持ち主もご近所さんも、実がついてもすぐに無くなっちゃうねって笑ってたっけ。
アケビだったこともある。君はヤマネで、俺のことをとても美味しそうに食べてくれるから、好いてもらえてるんだなって嬉しくなっちゃった。俺に無我夢中になってる君はなんて甘美なんだろう。君に食べられることがすごく幸せなんだなって、この時に自覚したんだ。叶うことなら次も、そのまた次もずっとずっと、食べられたいなって思ってた。
1384